Q&A2120 ☆黄体補充をしている期間の性交 | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

Q ホルモン補充周期で胚盤胞移植をします。排卵後にも性交することで子宮内膜が受精卵を受け入れやすくなるとの記事を拝見しました。そこで、移植周期に性交を行っても差し支えないかを今通っているクリニックで質問しました。「コンドーム使用してください」と言われました。理由は、黄体補充のルティナス膣錠の男性への曝露を避けるためと、薬の吸収に影響する可能性があるため、またホルモン補充周期のため排卵が起こらないので性交しても妊娠率upにはつながらないため、とのことでした。先生は、ホルモン補充周期での性交についてどのようにお考えでしょうか。

 

A 2016.2.9「☆着床期の性交の是非」の記事が最新情報です。これまでの流れを時系列でご紹介いたします。
2012.9.23「☆排卵後の性交は意味がない?」精液への暴露により免疫寛容となり着床が促進される可能性
2012.11.29「体外受精のあとにも性交を!」胚移植前後に性交を行うと妊娠継続率が良い
2014.6.30「☆着床期の性交の是非」着床期の性交は妊娠率を低下させる可能性

したがって、現在の最新情報では、着床期の性交は妊娠率を低下させるため、現在私は着床期の性交をお勧めしていません。ただし、移植前の性交はOKです。着床期とは排卵後7日目前後、ホルモン補充周期では黄体ホルモン開始から7日目前後になります。したがって、胚盤胞移植前であれば着床期には当たりません。

 

「黄体補充のルティナス膣錠の男性への曝露を避けるため」と「薬の吸収に影響する可能性があるため」については、可能性は考えられなくもないですが実際には証明されていません。日本人は世界一性交を行わない人種ですが、海外の男性はいつでも性交を行うものと推察されますので、性交は制限なく実施しているのではないでしょうか。また、「ホルモン補充周期のため排卵が起こらないので性交しても妊娠率upにはつながらない」については、確かに排卵しませんが、移植した胚の妊娠率増加に関しての意見がありません。

 

なお、このQ&Aは、約3ヶ月前の質問にお答えしております。