☆卵巣機能低下におけるDHEAの効能:メタアナリシス | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

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本論文は、卵巣機能低下におけるDHEAの効能についてのメタアナリシスです。

 

J Assist Reprod Genet 2016; 33: 981(中国)doi: 10.1007/s10815-016-0713-5

要約:卵巣機能低下におけるDHEAの効能について2015年までに発表された21論文メタアナリシスを行いました(ランダム化試験8件、前方視的検討10件、症例対照研究3件)。DHEA使用により、臨床妊娠率は1.53倍、出産率は1.87倍、着床率は1.56倍、AFCは0.40個に有意に増加し、流産率は0.50倍に有意に減少しました。使用量は1日75mg、使用開始時期は3ヶ月前から、使用終了時期は不明です。

 

解説:DHEAは、副腎皮質と卵巣莢膜細胞で産生され、卵巣では卵胞発育作用と顆粒膜細胞増殖作用を担っています。また、DHEAはIGF1の増強作用を持ち、卵胞発育にプラスに働くとともに閉鎖卵胞への変化を抑制します。DHEAが卵巣機能低下の方の卵巣反応性を改善するとの報告がありますが、世界的なコンセンサスは得られていません。本論文は、卵巣機能低下におけるDHEAの効能を示したメタアナリシスです。しかし、ランダム化試験+前方視的検討18論文の各症例数は12〜67人であり比較的小規模な研究に留まっていますので、真の有効性を証明するためには大規模な前方視的検討が必要です。

 

下記の記事を参照してください。

2018.4.18「☆DHEAは着床を促進する?

2017.1.18「DHEAは着床障害を引き起こす?

2014.3.26「☆男性ホルモン関連のまとめ