Q&A1904 子宮体癌検査で引っかかっています | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

Q 42歳不妊治療中で、2回の採卵の結果、現在3ABの胚盤胞1個凍結、移植待ちです。前回移植周期では黄体ホルモン値が移植日で6.8と低く子宮内膜も萎縮し始めているという事で移植キャンセルとなりました。

40歳の時に子宮体癌検査で引っかかり、今年不妊治療を始めるまで二度子宮内膜全面掻爬を行い病理検査の結果は下記です。
1回目、Endometrium with metaplastic change in secretory phase of the uterine corpus, biopsy.
内膜腺は好酸性の胞体を有し微小乳頭状となりeosinophilia metaplasia を呈す。核下空胞を伴っている。間質は浮腫状となる。前述通りではあるがback to backを含めた構造異型を軽度見る。拡張した腺腔内に乳頭状に増殖する像もみる。いずれも明瞭な核の異型性はない。 
2回目、Proliferator phase endometrium with eosinophilic metaplasia of the uterine corpus, dilation and curettage.
組織学的には、軽度の分岐や拡張を示す管状構造が主体である。内膜は核が義重層化~単層性を示す高円柱上皮であり、極性の乱れや腺構造の不整はあまり見られない。Eosinophilic metaplasia が目立つ。一部に核分裂像を認める。間質は出血成分が多く、浮腫は見られない。増殖期相当の内膜である。
3ヶ月毎の内膜細胞診での経過観察では、クラス3 異型内膜増殖症疑い続きでしたが内膜肥大の所見なしです。

 

このような細胞、組織検査所見ですが、不妊治療にあたり何か問題となる事はありますか。受けた方が良い検査、治療などはありますか。

 

A 内膜細胞および組織検査の結果から、妊娠治療に悪影響となることはまずないと思います。唯一気になる表現は「back to back 」の部分ですが、「明瞭な核の異型性はない」との表現がありますので、まず心配はないでしょう。
 
なお、移植日の黄体ホルモン値が6.8でしたら私は移植可能と考えます。移植日からの黄体ホルモン補充で十分カバーできるからです。
 

なお、このQ&Aは、約4ヶ月前の質問にお答えしております。