☆妊娠高血圧症候群の予防におけるアスピリン服用開始時期と服用量 その2 | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

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妊娠高血圧症候群の予防におけるアスピリン服用開始時期と服用量の最新のメタアナリシスをご紹介します。

 

Am J Obstet Gynecol 2018; 218: 287(英国)doi: 10.1016/j.ajog.2017.11.561

要約:1985〜2017年に発表された妊娠高血圧症候群の予防におけるアスピリン服用開始時期と服用量に関する論文のメタアナリシスを行いました。16論文、18,907名のうち、8論文はクオリティーの高い研究でした。それぞれの研究の母集団は大きく異なりましたが、妊娠37週未満で発症の妊娠高血圧症候群の予防に関する論文では母集団は一定していました。すなわち、妊娠16週までにアスピリン100mg/日以上の服用を開始すると、妊娠37週未満での妊娠高血圧症候群のリスクが有意に低下しますが、妊娠37週以降の妊娠高血圧症候群のリスク低下にはなりません。最大規模の研究である2018.4.3「☆妊娠高血圧症候群の予防におけるアスピリン服用開始時期と服用量 その1」でご紹介の論文では、アスピリン群では0.38倍に有意に低い妊娠高血圧症候群の罹患率を示しました。それ以外の研究でも、アスピリン群では0.22倍に有意に低い妊娠高血圧症候群の罹患率を示しました。

 

解説:2018.4.3「☆妊娠高血圧症候群の予防におけるアスピリン服用開始時期と服用量 その1」ご紹介の論文と本論文の研究結果から、妊娠16週までにアスピリン100mg/日以上の服用を開始すると、妊娠37週未満での妊娠高血圧症候群のリスクが有意に低下することが明らかとなりました。妊娠が判明してからでもアスピリンの服用は遅くはありませんので、第1子が妊娠高血圧症候群の方は、ぜひアスピリン(バイアスピリン)を服用されることをお勧めいたします。