Q&A1641 体外受精で3PN、次回は顕微授精? | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

Q 36歳、AMH 0.3、高FSH

1回目の採卵では、クロミッドのみの低刺激法の体外受精で1つ受精卵ができましたが、着床しませんでした。
2回目はウルトラショート法で1個採卵しましたが、体外受精で3PNになり異常受精でした。
刺激をしても卵が育たないので、3回目はクロミッドのみの低刺激法にしました。今回は、前回の結果を踏まえて顕微授精を勧められました。3PNの原因は卵の質の問題だと解釈していたので、なぜ顕微授精を勧めるのか疑問でいます。精子は全く問題がないです。1個しか取れないからより確実にという事でしょうか。それとも、3PNは卵の質の問題だけではなく、精子にも問題があったのでしょうか。1回目は受精までしているので、顕微授精までする必要性があるのか知りたいです、

 

A 採卵が1個の場合には、確実に受精卵を得るために顕微授精が行われることが一般的だと思います。正常受精卵が得られなければ、先がなくなってしまうからです。

3PNが起きる原因は様々であり、精子と卵子のどちらの可能性も考えられます。この時に、第2極体が放出されていたかどうかが重要なポイントになりますが、おそらく極体に関しての説明はなかったのではないかと思います。第2極体が放出されていない場合には、卵子の第2減数分裂が行われていないことを意味しますので、卵子の問題が考えられます。一方、第2極体が放出されていた場合には、卵子の第2減数分裂が行われたことを意味しますので、精子が2つ入った可能性(多精子受精)が考えらます。この場合に、精子の濃度が高かったことによる多精子受精の場合と、精子が侵入した際に卵子側でバリアがかからなかった場合が考えられます。受精させた時の精子の濃度が鍵になるでしょう。