Q&A1632 何も問題がないのに1度も妊娠に至りません | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

Q 妻:痩せ型、遺伝的にLDLコレステロールが高め
    初潮中学2年生、生理周期 33〜34日、持続6〜7日間 
    排卵日 D20〜21予想、高温期13日間
    卵管造影 血液検査(高温期 低温期)共に異常なし 
  夫:33歳 精液検査、ヒューナー検査共に異常なし

    2016年12月より軽いバセドウ病で通院 1日おきにメルカゾール服用中
D15から36.5度に上がるまで1日おき、もしくは毎日タイミングをとるようにしています。

2016年2月より妊娠を希望し、なかなか妊娠にいたらないので、10月に総合病院の婦人科で血液検査を受け 基礎体温表をみてもらいましたが、基礎体温もちゃんと二層にわかれているし、すごくいい基礎体温表だと言ってもらいました。卵胞チェックと市販の排卵検査薬と高温期にあがるタイミングが全て合うので排卵日の予想もあっていると思います。
4月に不妊に特化した病院に変わり 卵管造影を受けました。卵管造影後1回目は卵管造影(油性)だったこともあり医師の方針で見送り 2回目 卵胞の成長が遅いとのことで生まれて初めて生理がちゃんと来ずソフィアを処方されました 3回目は何も薬も服用せず D18に卵胞チェックにいくと卵胞の大きさも内膜の厚さもいいから高温期になるまで1日おきにタイミングを取るように言われました。卵管造影後ということもあり期待していましたが今回も妊娠に至りませんでした。
自分の気がすむまでタイミングとったら何も異常ない人は体外に進んだ方がいいかもしれないと言われたのですが松林先生のお考えもそうですか。他に受けた方がいい検査はありますか。周りの同世代の友達も妊娠もしくは 流産の経験があるのですが、何も問題がないのに1度も妊娠に至らないのはなぜなのだと夫婦で落胆しています。ニュートラルな気持ちが大切だとはわかっているのですが‥
最近の気になることといえば タイミングが合っていたと思われる生理前に白い小さい膜のようなものがでるようになった。(着床に至らなかった受精卵では?!)  生理1日目から鮮血が出ていたのにここ3回くらい少量の茶オリモノから始まるようになった。高温期の上がり方がここ4回ほど昔ほどバンッと上がらず徐々に高くなっていくように変わった。

A 「何も問題がないのに1度も妊娠に至らない」とのことですが、一般検査で異常が判明するのは50%、つまり半数の方は原因不明です。女性の年齢の記載がありませんので具体的な時期については明言できませんが、原因不明の場合には「タイミング→人工授精→体外受精」の順にステップアップします。直接の体外受精はお勧めしません。なお、基礎体温はあまり役に立ちませんので、リプロダクションクリニックでは推奨していません。むしろ、ストレスになり妊娠率低下の可能性が示唆されています。海外でも基礎体温はほとんど計っていません。また、細かいことを気にすることも、妊娠にはよくありません。

 

下記の記事を参照してください(特に①③)。

2017.5.24「☆☆妊娠に必要な知識④ライフスタイル

2017.5.23「☆☆妊娠に必要な知識③治療の進め方

2017.5.21「☆☆妊娠に必要な知識②精子と卵子の違い

2017.5.20「☆☆妊娠に必要な知識①妊娠成立の仕組みと検査の限界

 

基礎体温に関しては、下記の記事を参照してください。

2014.1.22「☆☆基礎体温測定の意義は?