Q&A1613 iPS細胞から精子作成 | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

Q 56歳男性、乏精子症のため、なかなか子供ができません。

そんな中、最近はこんなニュースが目につきます。
http://gigazine.net/news/20140525-human-skin-turn-sperm/
http://www.excite.co.jp/News/world_clm/20160227/Techinsight_20160227_237276.html
京都大学の斎藤通紀教授のチームも相当の成果を上げていると聞きます。皮膚の細胞から精子をつくるなんて、ちょっと信じがたいですが、もしできたら、私のような男には本当に朗報です。

そこでお尋ねしたいのですが、これらの技術は本当に実現可能なのものなのでしょうか。また、近い将来、法的関門をクリアーしたとの仮定の上で、私のような男の不妊治療に現実に使える日がくるものでしょうか。それともこれらはまだ何十年も実用化にはほど遠い絵空事に過ぎないのでしょうか。

A iPS細胞の研究は、かなりの速度で研究が進んでいます。マウスではiPS細胞が登場したかなり初期に精子を作ることに成功しています。ヒトでの研究はこれからですが、ヒト精子作成に成功する日はそう遠くないように思います。しかし、実用化するには、安全面と倫理面のハードルがあります。ここを如何にクリアするかがポイントだと思います。

 

下記の記事を参照してください。

2017.8.28「クラインフェルター症候群のマウスの皮膚からiPS細胞を作成し妊娠に成功