本論文は、PGS正常胚の妊娠成績は胚のICMのグレードに依存することを示しています。
Fertil STeril 2017; 107: 664(米国)
要約:2013〜2015年にPGS(CGH法)を実施し正常胚を移植した417名477個の胚盤胞の妊娠成績を胚のグレード別に後方視的に検討しました。なお、ベスト(3AA以上)、良好(3〜6AB、3〜6BA、1〜2AA)、普通(3〜6BB、3〜6AC、3〜6CA、1〜2AB、1〜2BA)、不良(1〜6BC、1〜6CB、1〜6CC、1〜2BB)の4群に分類しました。有意差の見られた項目は下記の通り。なお、継続妊娠率は妊娠24週以降の妊娠継続としました。
継続妊娠率 流産率
ベスト 84,2% 0%
良好 61.8% 2.7%
普通 55.8% 11.3%
不良 35.8% 18.9%
ICMグレード
A 76.2% 1.6%
B 53.6% 11.5%
C 13.5% 58.3%
なお、TEのグレード及び胚の大きさによる比較では有意差を認めませんでした。
解説:正常胚であれば胚のグレードは関係ないとする論文が報告されていますが、臨床経験上、胚のグレードが妊娠率に関係することが十分考えられます。このような背景の元に本論文の研究が実施され、特にICMのグレードが重要であることを示しています。これによると、正常胚でも35〜85%、ICMのグレードでは13〜76%という大きな差が出ています。正常胚移植の優先順位を決定する際の一つの指標に取り入れるべきと考えます。なお、本研究はCGH法で行われていますので、より精度の高いNGS法でも同じ結果が得られるかは不明です。