Q&A1421 PCOSにイソフラボンのサプリメントは? | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

Q 多嚢胞で、自力で排卵したことがありません(クロミッドは比較的効きやすい体質のようです)。
主治医から、イソフラボンのサプリメントを出されました。また、納豆や黒豆などを積極的にとるよう言われました。「エクオール」を自力で作れない体質だから…だそうです。しかし、調べるとDHEAは納豆や黒豆などに多く含まれると書かれていました。ちょっと不安に思ったのでサプリは先生に相談しますが、食品にも気を付けた方が良いのでしょうか。

A 多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の方にエストロゲン製剤やエストロゲン含有食物(イソフラボンなど)の摂取は逆効果です。2013.2.13「
☆女性ホルモンのサプリは本当に健康によいか:日本編」の記事を参照してください。なお、エクオールと不妊症の関係は医学的に証明されていません(調べた限り論文は皆無でした)。また、DHEAは女性ホルモン及び男性ホルモンの原料ですので、DHEAも逆効果です。

 

女性ホルモン補充は、
1 女性ホルモン低下の場合(更年期以降)、適度な補充はよいが、過剰な補充は悪影響
2 女性ホルモン正常の場合、補充は不要(悪影響)

となります。

 

ヒトの身体は、外から摂取したものを作らなくなります。例えば、ステロイドホルモンの摂取は良くないと一般的に思われていますが、何がいけないのかというとステロイドホルモンを長期摂取すると、身体の中でステロイドホルモンを作らなくなるからです(なお、短期摂取は問題ありません)。ステロイドホルモンは生命維持に必須のホルモンですから、これでは困ります。同様に、男性は男性ホルモンを摂取すると、精子を作る力が低下します。女性は女性ホルモンを摂取すると、卵子を作る力が低下します。