Q&A1468 ビタミンEについて | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

Q 妊娠治療4年目
1年目は人工授精を7回し着床せず
2年目三年目は体外受精をホルモン補充で
胚盤胞移植(4回)と初期杯2個移植(1回)と胚盤胞2個移植(2回)の移植を7回しましたが、全て着床しませんでした。

今回は先生のブログを読み、勇気を出して診察が初めての先生に(なかなかうまくいかないので教授に見てもらうように言われ主治医変更されましたが、私は34歳で生理周期も30日で安定しているので)自然周期でお願いしたい事と、今までの事を踏まえどういう移植が良いかと聞くと2段階移植を提案されたのでお願いしました。その結果、妊娠反応が出ました。まだまだこれからですが、4年目にして一歩踏み出せ、心が軽くなりました。

そしてご相談は 今 飲んでいる薬についてです。膣錠ルティナスは1日3回(不妊治療病院にて)、ユベラN 50mg1日3回、シナール1日3回(ユベラ、シナールは内科医師に処方していだだいています。不妊治療の事もお話したらサプリメントにもなるので大丈夫と言われました)。

しかし最近、妊娠5週目以降はユベラはやめたほうがいい、心臓ができる期間だからと書いてある文献を読みました。週末から5週目に入るのでよろしければ教えていただけると幸いです。

 

A ユベラ=ビタミンEが胎児に悪影響であることを証明した論文はありませんが、一般的にビタミンEは妊娠したら中止する方向になっています。これは、過剰投与を心配してのことだと思いますが、現在お使い頂いている量で過剰投与になることはないと思います。

 

下記の論文では、ビタミンEの抗酸化作用が妊娠糖尿病の方に有用であることが報告されています。この論文だけでは不十分ですが、少なくともビタミンEによる妊娠への悪影響は生じていません。

 

Can J Diabetes 2017; 4: 143(イラン)

要約:血糖下降薬剤を使用していない妊娠糖尿病の方60名をランダムに、オメガ3脂肪酸1000 mg+ビタミンE400 単位投与群とプラセボ投与群の2群に分け6週間投与しました。オメガ3脂肪酸+ビタミンE投与群では、プラセボ群と比べ、抗酸化作用を認めましたが、CRPには影響を与えず、また新生児の黄疸を有意に低下させました。