Q ブログをきっかけに遠方からリプロ大阪へ思い切って転院し、体外受精後、無事に出産することができました。本当にありがとうございます。出産したばかりですが、チョコレート嚢胞の手術歴があり、再発しないうちにできるだけ早く第二子治療を再開したいと考えています。
①2015.12.10「Q&A933 第二子治療再開の時期は?」の記事で産後半年で治療再開可能とのことですが、「第二子までの妊娠間隔が自閉症スペクトラム障害リスクに関連」という記事を発見し、悩んでいます。先生はどのようにお考えでしょうか。
②また、第一子は正産期に入ってすぐの出産で2474gと小さめでした。これを考慮すると第二子妊娠までの間隔が短いと、早産のリスクが高まることはあるでしょうか。
A
①日本のニュースは、読者をひきつける作戦を多用しますので、間違った解釈(誇大表示)であることが少なくありません。したがって、元の論文を読まないと正確な情報は得られません。
Pediatrics. 2015; 136: 651(米国)
要約:2000〜2009年にカリフォルニアの1病院で出産した赤ちゃん45,261名を対象に、ICD9国際疾病分類の299.0、299.8、299.9を自閉症スペクトラムと判断し、第1子出産後第2子妊娠までの期間との関連を検討しました。結果は下記の通り。
妊娠までの期間 自閉症スペクトラム(+) 自閉症スペクトラム(ー) 相対危険度
6ヶ月未満 37名(2.3%) 1546名 3.0*
6〜8ヶ月 37名(1.6%) 2297名 2.1*
9〜11ヶ月 51名(1.5%) 3419名 1.9*
12〜23ヶ月 192名(1.2%) 15377名 1.5*
24〜35ヶ月 100名(1.0%) 9666名 1.2
36〜47ヶ月 43名(0.8%) 5027名 対照
48〜59ヶ月 32名(1.1%) 2899名 1.3
60〜71ヶ月 17名(1.1%) 1566名 1.3
72ヶ月以上 38名(1.8%) 2039名 2.4*
*有意差が見られたもの
解説:本論文は米国からの発表ですが、米国は自閉症と診断する率が世界一高い国です。そのあたりを差し引いて考える必要がありますが、例えば産後6〜8ヶ月での自閉症は1.6%、36〜47ヶ月では0.8%です。2倍と捉えるのか、わずか1.6%と捉えるのか、その方の考え方次第ではないでしょうか。確率の低い疾患のリスクを議論する際に、相対危険度で表記すると3倍になる場合でも、実測値では0.01%が0.03%になる程度です。ニュースには騙されないようにしないといけません。
②そのような根拠は一切ありません。
下記の記事を参照してください。
2016.2.10「Q&A996 息子の自閉症が心配です」
2015.8.19「☆ADHDは先天的?後天的?」
2015.6.27「☆母体の加齢に伴いお子さんの自閉症は減少する」
2015.4.4「☆トキソプラズマ感染症と自閉症の関連」
2015.3.25「Q&A642 テストステロンと自閉症の関連」
2014.10.24「自閉症と体外受精の関連」
2014.5.12「☆陣痛促進剤と自閉症の関連」
2014.2.13「体外受精で自閉症は?」
2013.4.14「自閉症と体外受精の関連は?」