自閉症と体外受精の関連 | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

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下記の記事で自閉症と体外受精の関連は否定的であることを示しました。
2014.2.13「体外受精で自閉症は?」7論文(コホート研究2件、ケースコントロール研究5件)から合計9216名の自閉症のお子さん
2013.4.14「自閉症と体外受精の関連は?」4164名の自閉症のお子さん
本論文は、過去最多の遺伝子解析により、自閉症と体外受精の関連は否定的であることを示しています。

Fertil Steril 2014: 102: 388(米国)
要約:北アメリカの4~18歳の自閉症のお子さん2760名のうち、遺伝子のコピー数多型を示す1994名と遺伝子変異を示す424名を体外受精の有無で検討しました。各種の交絡因子で補正したところ、体外受精の如何で、遺伝子のコピー数多型も遺伝子変異にも有意な違いを認めませんでした。また、女性年齢増加に伴い、自閉症の遺伝子異常の頻度が増加しました。

解説:米国では自閉症は50人に1人の頻度とされており、多くの遺伝子異常が指摘されています。また、環境要因や感染、汚染物質などの関与も示されており、未知の原因も少なくありません。自閉症と体外受精の関連は否定的ですが、遺伝子解析で証明したものは多くはありませんでした。本論文は、過去最多の遺伝子解析により、自閉症と体外受精の関連は否定的であることを示しています。

これまでは、父親の年齢がお子さんの自閉症と関連するという報告がありました。本論文は、母親の年齢がお子さんの自閉症と関連することを示しています。