出産歴と死亡率の関係 | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

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本論文は、出産歴と死亡率の関係について検討したものです。
 
 
Fertil Steril 2017; 107: 179(米国)
要約:424,797名45歳以上の女性を平均24.9年間前方視的に検討しました(CPSスタディー)。このうち亡くなった方は238,324名おられました。出産歴の有無で検討したところ、出産歴のない女性とくらべ出産歴のある女性では、死亡率が0.94倍、心疾患罹患率が0.94倍、癌の罹患率が0.92倍に有意に低下していました。また、糖尿病の方では、出産2回と比べ、出産が6回以上になると、死亡率は逆に1.28倍に有意に増加しました。20〜22歳で第1子を出産した方と比べ、20歳未満で第1子を出産した方は、死亡率が1.04倍に有意に増加しました。35歳以上では、癌による死亡率が1.13倍に有意に増加しました。また、残された人生は、4〜7ヶ月長くなりました。
 
解説:米国でも少子化の流れがあり、1950年代には平均3名以上のお子さんを出産していましたが、今では2人を割り込みました。本論文は、出産歴と死亡率の関係について一般集団でも成り立つか否かを検討したものです。出産歴は死亡率にプラスの作用しますが、糖尿病の方では逆にマイナスに作用します。また、若くして出産すると、これも死亡率アップに結びつきますので、ご注意ください、