Q&A1399 流産2回、出産1回 | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

Q 42歳

38~39歳で3回採卵。初期胚4個、胚盤胞9個を凍結。

1回目の移植4BCで、5週目の胎嚢確認までは順調でしたが、6週目も胎嚢だけ。7週目で心拍確認するも8週目には消え、流産手術を実施(染色体検査は受けず)。

通院先で下記の不育検査を受けました。
第12因子69%、プロテインC活性100%、プロテインS66%、抗PE IgG抗体キニノーゲン添加0.127、キニノーゲン非添加0.088、活性化部分トロンボプラス31.5秒、抗核抗体320、抗DNA抗体2.0、ループスアンチコアグラント1.03、抗カルジオリピンーベータ2GPI 1.2。
主治医より、ボーダーなので、以後アスピリンを服用するよう指示されました。

2回目の移植は、排卵日よりアスピリンを服用。初期胚8G1を移植するも陰性。

3回目の移植は、生理周期2日目よりアスピリンを服用。4ABで陽性。医師から「完全な不育ではないから必要ない」と言われ、20週でアスピリン中止。妊婦健診は常に経過順調と言われるも、32週で急に「原因不明だが羊水が殆どない。胎児の膀胱は問題なく、破水でもない」と言われ、以後管理入院。羊水は増えず37週で予定帝王切開。2600gの健康な女児を出産。なお、出産時、両側卵巣に6cm大の腫瘍が判明。急きょ核出術も実施(良性)。

2人目の治療開始

4回目の移植を実施。排卵日よりアスピリンを開始し、5BCを移植。判定日のHCGは128、5w0dに胎嚢が見えず、HCGは970。5w6dでやっと4mmの胎嚢が見えるも、ほぼ流産と言われ、7w0dに胎嚢6mm(胎嚢以外見えず)で手術を実施。現在染色体検査の結果待ち。

①私が受けた不育検査は不十分ですか。先生の病院での不育検査を検討中ですが、先生のところでは具体的に他にどの項目を実施されていますか。
②羊水過少は原因不明と言われましたが、不育の対策不足という可能性もありますか。

 

A 

①不育の領域は進歩が速いため、アップデートが必要です。したがって、不足の項目が多々あります。当院は、2016年にも不育検査のアップデートを行いました。今年もアップデートするかもしれません。

②不育と羊水過少の関連は証明されていません。羊水の大部分は胎児の尿ですから、胎児と関係があるのですが、胎児に問題がなければ、原因不明になります。

染色体検査に異常がなければ不育の不足分を検査してみてください。異常があれば、本来なら着床前スクリーニング検査が望ましいです。