Q&A1067 どちらのクリニックがよいでしょうか | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

Q 妻33歳、夫36歳
子宮内膜症、左卵巣に4cm程のチョコレート嚢腫があります。
Aクリニックでタイミングを5周期、人工授精を4周期、31歳で体外受精にステップアップ。1回目で妊娠しましたが、心拍確認後の7週で流産し、搔爬手術を受けました。その後、2回採卵、2回移植を行いましたが、結果が出ませんでした。全て新鮮初期胚の移植です。病院の方針で、採卵は低刺激のみ、余剰胚の凍結は胚盤胞のみのため、余剰胚がなく、その都度採卵していました。病院の方針に縛られずに、選択肢を広げたいと思い、32歳でBクリニックに転院しました。
1回目はアンタゴニスト法で刺激をしましたが、OHSS気味になり、卵巣出血もありました。4個採卵し、凍結できたのは1個のみで、移植して化学流産でした。
2回目はクロミッドとフォリスチムで刺激し、2個採卵し、凍結できたのは1個のみで着床しませんでした。
3回目はクロミッドのみの刺激で凍結1個のみで、着床しませんでした。
移植はすべてホルモン補充周期です。

転院し、刺激方法の選択肢を広めたのですが、卵子の質が悪く、数も取れず、結果が出ません。チョコレート嚢腫が大きくなっていること、ホルモンバランスの悪さを指摘されており、医師も結果が出ない原因として内膜症しか思い当たらないとのことで、薬物による内膜症の治療を優先することも検討しています。ただ、治療には6ヶ月以上かかるとのことで、年齢も考えると焦りを感じます。

Bクリニックの治療内容はどのように思われますか。結果が出ない状況や採卵できる卵子の質や数を考慮すると、内膜症の治療を優先すべきでしょうか。その場合は手術ではなく、薬物療法が適当でしょうか。

A 私なら、薬物療法も手術もしません。内膜症のマイナスポイントは体外受精でほとんどカバーできると考えられるからです。それよりも、刺激方法の改善や、卵子の質の改善を検討します。刺激法が合っていないように思います。

まず、ビタミンD、テストステロン、DHEASの採血を行い、不足しているものを1~3ヶ月補充します。刺激は、AMHとAFCの数値によりますが、その方に合った刺激を行い、最大数の卵子を採取します。また、不育の検査もしっかり行っておきたいところです。

私は、AクリニックもBクリニックも独自の型にはめた治療しか行っていないように思います。したがって、Bクリニックへの転院は、必ずしも選択肢を広げたとは思いません。