Q&A1063 刺激法について | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

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生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

Q 採卵日を決定する際、一番大きい卵胞の大きさで日が決まりますが、その主席卵胞が良好卵とは限らないと先生のブログで拝読させていただきました。また、生理周期と関係なく、採卵が可能ということですが、主席卵胞が排卵してしまうと、その時、見えている他の小さな卵胞も排卵してしまう(又は消えてしまう)ということではないのでしょうか。主席卵胞に合わせて、採卵してしまうと、万が一、まだ小さい卵胞が良好卵だったら、それを無駄にしてしまっているのではないかと、気が気ではありません。
また、卵胞の大きさをそろえることに意味はないとのことですが、揃えずに、できている卵をできるだけ多く採る方法はありますでしょうか。排卵の理屈も分からないで、質問させていただくのも、失礼がとも考えましたが、思い切って、質問させていただきました。よろしくお願いいたします。

A この件に関しては、未だに不妊専門の医師でさえご理解頂けていない方がおられるように思います。

卵胞は毎日発育していますが、hMG製剤などの薬剤を使わないと1個しか育ちません。薬剤を使うとどこから初めても同じように卵胞が育ちます。また、排卵の指令は、全ての卵胞を排卵させるのではなく、ある程度大きくなったものだけが排卵します。このため、小さな卵胞は残ります。以上の結果、ランダムスタート法が可能になります。

1番大きな卵胞に合わせる方法ももちろんありますが、2番手あるいは3番手に合わせる方法もあります。多数の卵胞がある場合には、18mmを超える卵胞が2個あるいは3個になったらトリガーを打つというのが刺激周期では一般的です。1個しかなければその1個に合わせます。いずれにしても、その方に合った刺激を選ぶことが最も重要です。