妊娠治療により出産した児のリスクは? | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

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妊娠治療により出産した児のリスクに関して、かつてはハイリスクであるとされていました。本論文は、出産した児の仮死状態や死亡率は、妊娠治療の有無で変わらないことを示しています。

Fertil STeril 2015; 104: 384(オーストラリア)
要約:1999~2011年に誕生した単胎妊娠1,953,932名の妊娠に関して、児の仮死状態や死亡率を分析しました。妊娠治療による妊娠1に対し妊娠治療によらない妊娠3の割合で対照群を準備しました。妊娠治療による妊娠では、APGARスコア低下や子宮内胎児死亡のリスクが一見増加していましたが、介入群と非介入群の背景因子を補正したところ、この有意差は消失しました。妊娠治療による妊娠で帝王切開率が有意に高くなっていましたが、これは母体の考え方やキャラクターによるためでした(自らの選択による帝王切開)。

解説:体外受精や人工授精などの妊娠治療ではなく、「妊娠しにくいことが様々なリスクにつながる」ということが近年の研究により明らかとなってきました。本論文は、出産した児の仮死状態や死亡率は、妊娠治療の有無で変わらないことを示しています。不妊症(妊娠しにくいこと)は病気と考えるべきなのは、このような観点からも言えます。

下記の記事を参照してください。
2013.2.15「☆妊娠までの期間が長いと早産リスクが増加」
2013.2.23「妊娠しにくい方のお子さんは喘息が多い? その1」
2013.4.20「妊娠しにくい方のお子さんは喘息が多い その2」