Q&A829 夫のがん治療後 | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

Q 私39歳、夫52歳
私が37歳のときより不妊治療を開始しました。夫は49歳のとき消化器に肉腫が見つかり、手術をし現在も抗癌剤を服用しています。もともと年齢相応の精子の状態でしたが、手術後悪化しました。このため自然妊娠は無理で、顕微授精しかないとの判断のもとステップアップしました。

刺激周期で採卵1回
①初回の新鮮胚盤胞移植で妊娠するも9週で進行流産
 次は凍結胚盤胞移植で化学流産
 その後、凍結胚盤胞移植で4回続けて陰性

転院し低刺激で採卵2回
①空胞2個、成熟卵1個、顕微授精するも変性
②空胞4個、成熟卵1個、顕微授精し、新鮮桑実胚を移植するも陰性

流産後に不育の検査をしたところ、子宮内の血流が少し悪いだけ。姉が橋本病で、私も甲状腺に腫れがあったため検査をするも、発症はしていないとのこと。鍼灸と漢方を始めて7ヶ月経ちますが、これといって変化を感じない状態。このまま低刺激で採卵をすればいいのか、治療を続ければ結果が出るのか、何をしたら良いのでしょうか。

A 精子に問題がある場合には、刺激周期がお勧めです。卵子の数で勝負しないと、精子の異常をクリアできないからです。

また、上手くいった時の方法を踏襲するのが最善策です。つまり、刺激周期での新鮮胚盤胞移植です。質問者の場合には、おそらくホルモン濃度が高い方が内膜の環境が向いているのだと思います。

不育症の検査は本当に大丈夫なのか、再検討が必要だと思います。基準値は、妊娠を目指す基準値を用いるべきであり、一般の基準値とは異なるからです。不育症の専門医の判断を仰いでください。