Q&A657 着床の窓のズレをとりあってもらえません | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

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生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

Q 胚盤胞にならない場合は分割胚の2段階でも着床の窓のズレに効果はあると思いますか。また、ナサニールを長く使う事で着床の窓をズラす事は出来ますか。主治医に相談しても分割胚の2段階には否定的で、着床の窓のズレについてもとりあってもらえませんでした。現在ある凍結胚3コを移植し終えたら卒業します。今回は、D14でナサニールを終え、D15からプロゲホルモンを開始し、D17で4CellG2を移植します。
4年間何度良好胚を移植してもカスリもしませんでしたが、5年目、うっかりしていてプロゲホルモン注射初日の朝までナサニールを使用していたんですが、その周期に体外授精初の陽性反応が出ました。初の2段階移植だったのでそのおかげかなとも思ったのですが、もしもナサニールで調整出来るのならと思い質問させて頂きました。

A ホルモン補充周期の場合の着床の窓は、黄体ホルモンが投与された日を基点(仮想排卵日)としますので、ナサニールは関係ないと考えます。一方、自然周期の場合の着床の窓は、排卵のトリガーが使われた日の36時間後が基点(排卵日)なります。したがって、反応が出た時は2段階移植だったからでナサニールは関係ないと思います。

胚盤胞でも分割胚でも基点からの日数が7日目を着床の窓が開いているものと仮定していますので、どのような胚を用いたとしても移植日をズラす作戦は可能です。しかし、それについて担当医が否定的な見解でしたらどうすることもできません。転院をお勧め致します。