Q&A583 39歳、採卵2回、移植0回 | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

Q 妻39歳、夫38歳(精液問題なし)
28歳 結婚、避妊2年間
30歳 右下腹部痛にて受診したところ排卵痛との診断。その前後から生理不順。
31歳 職場の乳がん検診にて要再検査となり、乳腺症とのことで手術にて除去しました。
産婦人科通院開始。高プロラクチン血症がみつかりました。そこでは、注射や内服で誘発しタイミングをとるという方法でしたが、1度生理の血に白い繊維状のものがあり、調べたところ胎児付属物で流産だったことがありました。3~4年通院したものの成果もなく、体調も悪かったので、中断し、漢方薬と鍼灸のみの治療にしました。
39歳 そこから3年ほど経ち、ラストスパートと思い、不妊専門クリニックを受診。そこでは、高プロラクチン血症はありましたが、カバサール服用にて下がりすぎるくらいで、飲んだりやめたりしながら、人工授精を5回しましたが、全て妊娠にはいたりませんでした。注射等使わなくても11日目頃には人工授精が行えることも多く、先生は排卵障害なんてないと言ってもいいくらいだと言っておられました。成果が出ないため、体外受精ができる病院に転院しました。転院先では、いろんな検査をしましたが、プロラクチン以外は正常で、いたって健康と言われました。
①ナファレリール点鼻薬と注射(前半フォリルモン、後半HMG)にて誘発しましたが、卵胞の発育が悪く(数も少なく、遅い)、後半はHMGを増量し注射し、予定より3日かかって、なんとか採卵1個採卵しました。ホルモン値から過熟卵かもと言われ、顕微受精を勧められました(卵子をきれいにしたら過熟かどうかがわかるからと)。その結果、過熟卵ではなく、受精したのですが、2日目で卵割停止してしまいました。
②1周期あけて、自然周期でクロミッド内服とHMG注射で誘発し、点鼻薬を使っての採卵となりました。2個採卵しましたが、1個は変性卵、1個が受精したものの、分割が遅く、2日目に4分割になったとのこと。その後、分割停止してしまいました(内膜がうすいとのことで、胚盤胞凍結する予定でした)。
③それをうけて、採卵も負担なので、今周期は1度にたくさん採卵することを目標に、注射内容を変えて(最初からHMG)誘発する予定でしたが、生理周期28日目から茶色いおりものがだらだら続き、生理開始日が決めにくく受診したところ、おりものがあった時点が1日目だからもう8日目なので、3日目から注射の予定だったので、今周期はとばそうと言われました。しかし、年齢的にも休んでいる場合でないので、今周期採卵できないかときいたところ、やってみようとのことで、本日より注射を開始したところです。

プロラクチンの値は下がりすぎてもよくないと思っているのですが、現在の担当医師は低いことは問題がないという考えなのが気になります。また、そこは患者数が多く、治療方法、誘発方法に選択肢があまりありません。私にあった方法というものはあるのでしょうか。AMHは測っていないのですが、年齢的に卵子の質が悪いということが、原因なのでしょうか。いろいろな方法を試していきたいと思っているのですが、現在の病院では、チャンスをどんどん逃してしまいそうな気がします。リプロダクションクリニックへの転院も考えています。

A おそらく、卵巣予備能がかなり低下しているものと考えます。したがって、AMH採血を行い、適切な卵巣刺激を行っていくことが得策でしょう。プロラクチンが下がりすぎるのはよくありません。これも適切な数値を維持することが必要です。