Q&A460 31歳、AMH 1.26、右卵管閉塞 | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

Q 31歳、AMH 1.26、結婚4年
自己タイミングを積極的に行って2年妊娠せず、さすがにもうこんなにできないのはおかしいと思い、30歳から不妊外来へ通院しています。
低温期、高温期ともにホルモン値に異常なし。卵管造影にて右卵管閉塞(よくみると、数分後には通ってるから、細いだけかもしれないけれど、通常より細いので、閉塞と考えた方がいいかもとのこと)。クラミジア陰性。採血ではホルモン値に異常はないのですが、生理周期が22日から24日しかなく、生理の量も少ないです。卵胞刺激をしないときの内膜は7~10ミリ、刺激周期は10~12ミリです。
通院の最初から、ゴナールF+hCGでタイミング5回。右卵管閉塞もあり、AMHも低値であるため人工授精へステップアップ。左の卵巣からの排卵に合わせて人工授精2回。妊娠ってこんなにもしにくいものなんだと痛感しました。今まで一度も陽性反応が出たことがありません。

1 2013.2.18「☆卵管がない側の卵巣から排卵した場合の妊娠は?」の記事では、卵管は教科書などでは子宮の両側についてるようにみえるけれども、実際は子宮の裏側についてるから、約1/3の確率で反対側の卵管が卵子をキャッチするとありました。となると、右卵巣から排卵の場合も人工授精をした方がいいのでしょうか。
2 2014.9.10「☆人工授精の精子調整時間と妊娠率の関係」の記事では、排卵のトリガーの32~40時間後に精子を注入すると妊娠率が良いとありましたが、今通っている病院は午前診療しか行っていないため、前日にhCG注射をし、翌日の午前中に人工授精をします。したがって、一番確率が良いとされている時間に人工授精ができません。

A 生理周期が短くなるのは、卵子が少なくなっている時に最初に現れる症状です。20代からこれだけの長期間妊娠しないのは不自然です。左右からの排卵を促すため、より強い排卵誘発を行った人工授精を2~3回トライして、結果が出ない場合には、体外受精へのステップアップが必要だと思います。検査では明らかにできない「隠された場所」に異常がある可能性があります。「隠された場所」の治療は、体外受精でしか解決できません

1 もちろん、右卵巣から排卵の場合も人工授精をした方が良いです。
2 前日の午前中にhCG注射をし、翌日の午前中に人工授精であれば、許容範囲です。