Q&A496 37歳、第2子希望、タイミング | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

Q 37歳、第2子希望
9年前に第1子を出産、その後4年間生理が来ず、生理をおこすと共に、専門のクリニックで不妊治療を始めました。治療といっても、5年前の血液検査では特に問題が無く、原則タイミングのみです。一度、人工授精の排卵誘発剤注射で、注射箇所の腫れと蕁麻疹が出たため、以後の注射は無くなり、排卵時期を見て、タイミングを計るのみです。最近1年くらいは、生理の周期も乱れ排卵が起きない時もあるので、タイミング以外の治療を望んでいますが、医師からは特に説明がなく、この先どうしようか悩んでいます。
喘息があり、ステロイドをはじめとする治療薬の服用+ゾレア注射をしています。ゾレア注射をしてからは、喘息や蕁麻疹の症状が安定してきたので、冬になる前に、ステップアップをしたいと考えています。また、体調にもよりますが、精液でも喘息や蕁麻疹が出るときがあるので、体外受精をしてみたいと思っています。
先日、健康診断で甲状腺肥大が指摘され、見た目でも両方の甲状腺が腫れているとこのとこで、エコーの予約をしています。19歳のときに両方の卵巣のう腫の開腹手術をしましたが、卵巣は残っています。
このような場合は、どんな治療がベストなのでしょうか。クリニックを変えるべきでしょうか。現在のクリニックは、不妊専門治療を掲げ、患者数も多いところですので、医師とはほとんど話をする時間はありません。

A 第2子希望の場合には、第1子希望の場合ほど治療に力を注がない傾向を医師が持っているように思います。「1人いるからよいのではないか」という勝手な解釈があるからだと思います。そのため、「不妊治療専門」を掲げる施設でも、第2子希望の場合には、タイミング治療が延々と行われることがあるかもしれません。しかし、何人欲しいかは医療者が決めることではありませんので、何人目であろうと常に全力を尽くすべきだと私は考えています。年齢的にも、ステップアップし、しっかりとした治療を行うべきだと思います。クリニックを変える必要はないですが、ステップアップしたいことを、はっきり言うとよいでしょう。

喘息については、薬剤の影響を危惧するよりも「発作を起こさないこと」が大切です。発作が起きた場合の方が胎児へのリスクが増加します。母体が苦しいときは、赤ちゃんはもっと苦しい状態です。酸欠状態は胎児の脳に障害をもたらしますので、むしろ薬剤を用いて発作が起こらないようにする方が得策と考えられています。

甲状腺は妊娠経過に関係しますので、しっかり精査をしておくのがよいでしょう。