Q&A1559 亜鉛摂取不足と皮膚疾患 | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

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生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

Q 以前、先生に亜鉛と着床障害の関係で質問したものです。先生に子宮内の銅濃度は調べられないので、血清亜鉛濃度を調べてみれば良いといわれました。その頃、手荒れが酷く薬も効かず、1日15㎎の亜鉛のサプリを取っていましたが、30㎎に増やしてみました。手荒れは増やして3日目から改善傾向が見られ、10日で完治し、その後3ヶ月間再発していません。増量して丸4ヶ月に会社の健康診断のオプションに自費で血清亜鉛濃度の検査が追加できたので調べてみたら102で正常でしたが、これは亜鉛のサプリを1日30㎎摂っての値です。振り返ってみると移植した時期は常に皮膚疾患を抱えていました。場所は様々でしたが、亜鉛のサプリを増量して以来、皮膚疾患は全てなくなりました。

現在、亜鉛のサプリを1日30㎎摂ってこの値と言うことは、亜鉛が足りていなかった=銅濃度も高めだったと言うことでしょうか。慢性的な亜鉛不足が有ったのだとしたら、102という数値になったことで、着床環境も多少は改善したと言えるでしょうか。

A 人体には1.4〜2.3gの亜鉛があり、その約20%は皮膚に存在するため、亜鉛欠乏により皮膚症状が出現し易くなっています。亜鉛欠乏症による皮膚症状は、眼瞼、口周囲、鼻孔、耳周囲、肛門周囲、外陰部および四肢末端に皮膚炎が生じることが多いようです。また、亜鉛欠乏症による味覚障害は有名で、その他、持続性の下痢や羞明(まぶしいこと)がみられます。したがって、亜鉛欠乏の方が亜鉛摂取により皮膚症状が軽快することは納得できます。

また、銅と亜鉛の濃度は逆に動きますので、亜鉛不足=銅濃度が高かった可能性を示しています。もちろん断定はできませんが、亜鉛不足が解消されている現在の着床環境の改善の可能性も期待できます。

下記の記事を参照してください。
2017.8.14「☆銅亜鉛と着床の関係