Q&A335 融解胚盤胞移植の時期 | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

Q 凍結胚盤胞移植を初めて行いました。内膜も14mmあり、ホルモン値も問題なく移植の日を迎えました。凍結していた胚盤胞は4BBでした。融解は朝9時に開始され、12時の時点でまだ拡張しきってはおらず、収縮した状態の画像をみせられました。移植可能と言われ、12時30分頃に移植しましたが、着床しませんでした。他の病院では、孵化する直前くらいまで培養して戻しているようですが、その点で問題がなかったのかと疑問を持っています。また、凍結胚盤胞を戻す時は、胚盤胞の中でも段階があると思いますが、どの状態で戻すのがベストなのでしょうか。

A このような現象は日常的に頻繁に生じています。融解後の胚盤胞が拡張していないから着床せず、逆に拡張しているから着床するというわけではありません。同様に、グレード1~2だから着床せず、グレード4~6だから着床するということでもありません。あくまでも胚の生命力なのだと思います。もし、孵化直前の胚盤胞移植をご希望なのであれば、グレード1~2の段階で凍結し、前日融解して1日培養してから移植する作戦もあります。当日朝の融解で昼の移植では培養時間に限りがあるため、十分に拡張しない場合があります。また、凍結融解操作は、収縮と拡張が必ず起きますので、これを避けるために、新鮮胚盤胞移植を行うという方法もあります。