精液所見に影響する社会•心理•生活習慣 | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

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生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

精液所見に影響する因子には多くのものが考えられます。本論文は、社会•心理•生活習慣が精液所見に与える影響をメタアナリシスにより検討したところ、タバコ、アルコール、加齢、心理ストレスの関与が抽出されたことを示しています。

Fertil Steril 2011; 95: 116
要約:26か国、総計29,914名におよぶ57論文を分析し、年齢、BMI、心理ストレス、タバコ、アルコール、カフェインなど13種類の社会•心理•生活習慣が精液所見に与える影響について、メタアナリシスにより検討しました。タバコは、全ての精液検査項目にマイナスに作用しました。加齢とアルコールは精液量減少のリスク因子でした。心理ストレスは精子濃度•運動率•奇形率を悪化させました。

解説:精子に与える悪影響のうち、タバコについては2012.9.26「タバコの影響:精子」で、心理ストレスについては2012.11.30「心のケア(心理サポート)の必要性:男性編」で、ご紹介しました。加齢とアルコールについては、今回初登場です。加齢の影響は男性では軽微ですが、精液量が減少します。アルコールの基本的な考え方は、一般的に飲み過ぎない、適量の範囲内でということになります。適量については、2013.2.25「妊娠を目指している方のアルコールは?」の解説欄にも記しています。1日のアルコールの摂取の適量は20gで、週に2日は休肝日を設け、アルコール20gを1単位と考えています。また、少量が週に50g未満、多量が週に140g以上となっています。

アルコール量(g)=アルコール度数 x 飲酒量(mL)x 0.8ですので、1単位の目安は、、、
アルコール度数5%のビール  500mL(1缶)
アルコール度数5%の缶酎ハイ 500mL(1缶)
アルコール度数12%のワイン 208mL(1/4本)
アルコール度数14%の日本酒  178mL(1合)
アルコール度数20%の焼酎  125mL
アルコール度数40%のウイスキー 62.5mL(ダブル1杯)
となります。