☆各国の体外受精費用 | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

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生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

これまでは一般不妊治療についての記載を中心にしていましたが、これからは体外受精について執筆する機会が増えてくると思います。今回は主な先進国の体外受精の費用についての論文をご紹介したいと思います。

Fertil Steril 2009 ;91: 2281
要約:2006年の各国の体外受精のデータを調査し、各国の平均値をUSDで表示しました(高い低い)。
      米国   カナダ 英国  Sc  豪州  日本  
新鮮胚移植 12513  8500 6534 5549 5645 3956
凍結胚移植 3035   2380 1560 1347 1648 1108
追加費用
  ICSI   1626  1172 1339 614  469  860
  AHA   705   349  675  339  207 271
 BL培養   379   247  678 458  508 632
 胚凍結   1138   590  579 457  274 452
個人の手取り収入に占める体外受精費用の割合
       50%  36%  18% 23% 19% 12%
各国の医療費総額に占める体外受精費用総額の割合
     0.06% 0.07% 0.13% 0.19% 0.25% 0.09%
一人の児を得るのに要する体外受精の費用(USD)
     41132 33183 40364 24485 25843 24329
Sc=スカンジナビア
(半角入力のズレが修正できないため、位置が揃っていないことをお詫びします)

解説:日本は本論文に示した先進国の中では、体外受精の費用が比較的安価な部類に属します。個人の収入に占める体外受精費用の割合は高くなっていますが、国単位でみると医療費総額に占める体外受精費用総額の割合はかなり低くなっています。国の補助金制度は各国で異なりますが、子供は社会の宝ですので、もっと不妊治療に対する手厚い補助を望んでやみません。