☆何月が妊娠しやすい? | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

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厚生労働省大臣官房統計情報部人口動態・保健社会統計課「人口動態統計」により、過去50年の日本の月別出生数の統計を調べてみました。すると、7月、8月、1月にお産が多く2月と11月がお産の少ない月でした。7~8月の分娩は、10~11月の排卵で成立した妊娠です。さて、この時期は妊娠しやすいのでしょうか。

人間には発情期はありませんが(いつでも発情期との見方もできます)、猿は1年に1回だけ発情期があります。それは、秋から冬、10~12月なのです。ニホン猿の受胎期間(167~173日)は人間(266日)より約100日短いので、この時期に妊娠すると4~6月のお産になり、暖かい時期を赤ちゃんの子育てに充てられることが有利なのではないかと考えられています。人間は猿から進化した訳ですから、猿の発情期にあたる時期に妊娠しやすいのは納得できます。

慶應大学の先輩の中沢和美先生(現、東海大学産婦人科教授)の専門に「時間生物学」というものがあります。中沢先生いわく、人間の場合、7~8月生まれの女の子は、生理の周期が一定していて健康であることが多いそうです。一方、何月生まれだろうと保育器に入っていた赤ちゃん、つまり早産の赤ちゃんが女児の場合、将来生理不順になる方が多いようです。これは、生後保育器内の明るい場所で一日中過ごすため体内時計が狂ってしまうからと考えられています。また、10~11月の妊娠では流産の頻度が有意に少ない(他の時期の約半分以下)ことも中沢先生は報告しています。10~11月の妊娠は、最も自然に近い妊娠なのかもしれません。

ただし、一番お産の多い月と一番少ない月の差は1日あたりに換算して約2%ですので、それほど大きな差は実際のところありません。また、1月の分娩は4月の排卵で成立した妊娠にあたりますが、 何故1月にお産が多いのかを説明できそうな根拠は私の知る限りありません。ですから、何月が妊娠しやすいかということについては、あまり神経質に考えなくてよいと思います。ちなみに 他の動物の発情期は、猫が年4回、犬が年2回、ウサギやネズミは通年を通して妊娠可能というように種によって異なります。

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