☆精子には抗酸化物質を | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

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生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

活性酸素は細胞やDNAにダメージを与え、抗酸化物質は活性酸素から細胞を保護する作用があります。下記の論文は、抗酸化物質(クリプトキサンチン、ビタミンC、リコぺン、β-カロテン)の摂取が精子に良いことを示しています。

Hum Reprod 2012; 27: 2807
要約:215名の健康な若者(大学生)の精液検査データと日常の食物摂取について調査しました。抗酸化物質であるクリプトキサンチン、ビタミンC、リコぺン、β-カロテンの摂取が運動精子数と正の相関を示しました。また、精液量は、ビタミンC摂取と正の相関を示しました。

解説:クリプトキサンチン、ビタミンC、リコぺン、β-カロテン(ビタミンA)ともに抗酸化物質として有名です。古い精子、タバコ、炎症などにより活性酸素が産生され、精子および精子形成細胞のDNAにダメージを与えます。活性酸素から細胞を保護するのが、これらの抗酸化物質になります。精子を良くするのではなく、悪くしないという発想です。この他に精子に良いと言われているのは、葉酸、セレン、ビタミンEです。逆に採りすぎると精子に悪いと言われているのは、カフェイン、肉、乳製品、大豆製品です。
活性酸素は様々な病気の一因であると考えられており、健康維持や疾患予防の観点から注目されています。これ以外の抗酸化物質には、尿酸、グルタチオン、メラトニン、ウロビリノーゲン、ポリフェノールなどがあります。ただし、ご注意いただきたいのは、体に良いからと言ってもセレン、ビタミンE、ビタミンAの過剰摂取はいけません。