Q&A3955 毎月採卵の是非は? | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

Q 43才

 

40才からART治療を始めました。前医では子宮と卵巣を休ませるため採卵も移植も連続は不可。また、ホルモン値が悪いと採卵周期には入れませんでした。4BC以上の胚盤胞が凍結可能胚のため採卵9回に対して移植が5回(4BB2回、4BC3回)でした。初回移植は化学流産(hCG 4.61)でしたが、他4回の移植は陰性でした。卵巣へのPFC-FDを2か月ごとに3回注入しましたが効果は感じられませんでした。移植5回のうち2回は子宮へのPFC-FDも行いました。

 

結果が出なかったため、42才11カ月で転院。現在は初期胚10個貯胚した後に腹腔鏡手術施行し移植という治療方針で毎月採卵しています。ホルモン値が多少悪くてもAFCで卵が確認できていたら採卵周期に入れます。最初の3回はPPOS法で、合計初期胚5個と胚盤胞4AB1個できました(1回目顕微授精、2回目3回目体外受精)。その後は治療成績が悪く4回目は卵育たず中止、プラノバールでリセット。5回目PPOS法で3個採卵でき、体外受精しましたが、2個異常授精1個未熟卵で凍結不可。6回目はクロミッド+HMGで4個採取。精液所見不良のため顕微授精し1個が正常授精し初期胚凍結。6回目の黄体期にDuoStimを行い2個採卵でき顕微授精施行(精液所見では体外受精可能でしたが、正常受精率が低かったので顕微授精を希望しました)結果は変性1個と未受精1個で凍結不可。自分では毎月の採卵が卵巣の負担になり回を重ねるごとに成績が悪くなったのではないかと思うのですが、医師からは「自然周期にしたり採卵を休んだりしても良い卵子がとれるとは限らない」と否定されます。

 

①毎月採卵しても卵巣の負担にはならないのでしょうか。
②毎月採卵によって卵巣への負担があったとしても、1周期休むことで卵子が老化する方が問題なのでしょうか。
③子宮鏡検査とEMMA/ALICE検査何れも異常なしでしたが、移植前に腹腔鏡手術する必要はあるのでしょうか。

 

A 

①②毎月採卵しても調子が良ければそのまま継続するのが良いです。調子が悪くなった場合には1周期お休みを挟みます。一律に毎月採卵がいけないとは言えません。卵巣の体調に合わせたプランを組むことが重要です。採卵の有無にかかわらず毎月卵子が減りますので、毎月採卵したからといって卵巣の負担にはなりません。
③移植前に腹腔鏡手術するメリットを唱えているのは某医師のみで、医学的に証明された方法ではありません。

 

なお、このQ&Aは、約3週間前の質問にお答えしております。