情報の概念はじつにシンプルで、シャノンによれば情報とは「起こりうる選択肢の数を計測したもの」 | 気功師から見たバレエとヒーリングのコツ~「まといのば」ブログ

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四ツ谷にありますバレリーナ専門の気功整体「まといのば」のブログです。
気功師から見たバレエとヒーリングのコツを公開します。
「まといのば」では、バレエ・ヒーリング・美容の各種セミナーを行っております。

OnLine MenTor2期のテーマは「謎解き」でした。

 

ヒーリングを長くやっていると、「気功技術を使えば万事うまくいく!」というフェイズを超えて、だんだんと「気功技術が効かない未知の領域」に踏み込んでいくことに気付きます。

 

高速道路でめっちゃ移動できても、高速を降りたら歩かなくてはいけないみたいなものです。それもジャングルの中を(これは良いたとえなのか?)。

 

 

ただ、まずはヒーラーとして最低限のレベルに立ってもらうために、OnLine MenTor1期があります。

1期というか、この一年分のコンテンツでプロとしてやっていく分には必要十分だと思っています。

実際にプロのヒーラーになりたいと思った人たちはほぼ100%、一年を待たずに(だいたい半年程度で)自立して、デビューしています。

素晴らしいことです。

 

ですので、OnLine MenTorは1年で完結のつもりで作りましたし、実際にそう機能しています。

(すなわち、「全くの素人がプロのヒーラーになる!」というコンセプトで言えば、OnLine MenTorは1期の1年のみです。

2期3期はプロとして相当な腕前を持つ人が、もっと上を目指したいと思ったときに学ぶコンテンツです)

 

数年経って、どんどん成功が成功を呼ぶようになったら、2期(密教)、3期(ケース・スタディ)へと取り組んで欲しいと思っています。

 

それはさておき「謎解き」です。

 

謎を解くことが大切です。

 

 

たとえば「頭痛にはどんな気功が効きますか?」という質問はざっくりすぎるのです。

 

頭痛は原因ではなく、結果です。

 

症状は原因ではなく、すべて結果です。

 

その結果に至る原因をひとつひとつ検証していくことが大切です。

 

このときの感触は正解を探すというよりは、不正解を潰すという感じです。

 

 

この発想は非常に大事です。

 

繰り返しますが、正解を探すのではなく、不正解をつぶしていきます。

不正解をつぶして、蓋然性の高い範囲に絞っていくイメージです。

(僕は真綿で首を絞めると言いますw正しい表現ではないのですが)

 

 

米津玄師さんがインスピレーションとか「アイデアが降ってくる」という表現に対してこんな風に異を唱えていました。

 

(引用開始)

俺、個人的な話をすると、「降りてくる」って表現、あんま好きじゃなくて。

なんかこう、うさんくさい。

うさんくせーなってすげー思う

 

なんか、だから俺は曲つくるときは、結構、いろいろな可能性をひたすらこうつぶしていく作業というか。

こういう出発点にいま自分がいます。どこに進んでいくべきなのか。

いろんな道があって、右から順番にひとつずついっていきますか。

一番右に行ったけど、あーなんか違うなと思って、元に戻って、

次の道行って、

もとに戻って、次の道行ってとか、ずっとやっているから。

 

俺の感覚としては、這いずり回って探している感じ(引用終了)

(菅田将暉のオールナイトニッポン【2017年10月16日】”ゲスト”【米津 玄師】)

https://youtu.be/ARXwmlVU5UM?t=1651

*「アーティストさんの言う曲が降りてくるってどんな感覚なんですか」という質問に対しての米津玄師さんの回答。

c.f.これが愛じゃなければ何と呼ぶのか僕は知らなかった 呼べよ花の名前をただ一つだけ張り裂けるくらいに 2019年09月05日

 

いろいろな可能性をひたすらこう潰していく作業」って良いなーと思います。

 

情報って何ですか?という質問に対して情報理論を創始したシャノンはこんな風に答えています。

 

*クロード・シャノン

 

情報とは「私が知っていること」では無い、と。

そうではなく、「起こりうる別の可能性の数を計測したものだよ」、と。

 

たとえば、ルーレットで18の目が出たという情報を私が知っているとしたら、それは起こりうる別の可能性を考慮すればN=37となるからです。

 

いまここでビットではなく、Nという情報量を使うとすると、、、

 

たとえば、誰かがあなたに自分の誕生日を教えてくれたとします。

 

「自分の誕生日は11月22日だよ」と教えくれたとすると、誕生日は366という他の選択肢の数の1日であり、起こりうる別の可能性(366通り)から考えると、N=366という情報を得たことになります。

 

もしくはサイコロの目について、1の目が出たことを知っていると、起こりうる別の可能性が6なので、N=6の情報を得たことになります。

 

ご承知のとおり、この選択肢の数であるNを、2を底とする対数Nに換算します。

 

対数というのは、平たく言えば桁数です(ですから、かつては計算尺を誰もが持っていました。「誰もが」は言い過ぎか)。

たとえば、十進数の桁数を数えれば、それは10を底とする対数となります。

というか、正確には10のn乗のnが対数ですね(指数と対数はコインの裏表です)。

 

ですので、ビット数というのは何かと言えば、起こりうる別の可能性の数を2進法で表記したときの桁数となります。

 

じゃあ、なぜ二進法なの、なぜ2を底とする対数なの?という問題ですが、

 

これは子供の遊びのYes Noテストを考えると分かりやすいです。

 

YesNoテストを知らない人はググってください。

https://45mix.net/yes-no-game/

 

 

たとえば答えがリンゴだったとします。

 

その正解をYesNoクエッションで探り当てていきます。

 

 

たとえばこんな感じです。

 

それは生き物ですか?

YES

 

それは動物ですか?

No

 

それは食べられますか?

Yes

 

それは果物ですか?

Yes

 

それはバナナですか?

No

 

それはリンゴですか?

正解!

 

 

僕はよく可能世界意味論をもじって解説するのですが、YesNoテストのポイントは世界を部分関数で2分割していくことです。

 

「それは生き物ですか」という質問は、世界を生き物と無生物に分けます。

分けることで、回答が所属する部分集合を探すのです(最終的には、部分集合自体が回答となります。リンゴとは概念の部分集合です)

 

このときの感触のポイントは正解があるのではなく、外側から真綿で首を絞めるように狭めていくということです。蓋然性を高めていくのです。でも、それは明晰判明で確実なものとはなりません。

 

這いずり回って探しながら、可能性を潰していく作業なのです。

 

 

 

このときのYesNoクエッションの感触が、二進法の感触です。

 

YesNoで2つの世界に分けていくことを、シャノンは想定しました。

だからこそ、何度の質問(YesNoクエッション)でそこに到達できるかという意味でビットなのです。

ビットはバイナリーデジットの略です。

 

余談ながら、実際はシャノンはこの単位に「シャノン」を使いたかったようです。1シャノン、2シャノンと。ガウスやニュートンやパスカルやマッハが単位の名前として残っているように。

 

 

ですので、可能性を潰しながら、範囲を狭めていきます。

だからこそ、「まといのば」ではまず医者に診てもらうことを勧めます。

医師たちが何も出来ないと判断したところに僕らの役割があり、彼らの専門に侵食することは無意味だからです。そこは棲み分けが必要です。

 

「それは病院で治せることですか?」という質問によって、可能性を潰すのです。

 

その1ビットの情報を最初に潰します。

 

ちなみにゴール設定も同じです。

 

僕が極端なことを言うと思っている受講生が多いでしょうが、極端なことをわざわざ言っているのではなく、可能性を遠くからつぶしているのです(そして極端に見えることに意外とゴールがあることも多いです)。

 

 

整体に引き寄せて、少し考えてみましょう。

 

たとえば、たくさんのYesNoクエッション(とオープンクエッションも)をします。

 

ベタなのは、「なぜここに来たのですか?」というオープンクエッションです。

主訴ですね。

機能改善なのか、痛みの解消なのか、可動域の改善なのか、カウンセリング的なものなのか、、

これは本人が自発的に話すのを待つしかないので、繰り返し質問するしかありません。

 

もう1つの質問は「ゴールは何ですか?」というオープンクエッションです。

ダンサーになりたいのか、次の発表会でトウシューズで踊りたいのか、足が開くようになりたいのか、痛みから解放されたいのか、、、、上記と重なる部分もありますが、本人の隠れたゴールを探す必要があります。

 

 

その上で、バレリーナ整体であれば、僕らはまず仰向けに寝てもらいいわゆる「脚の開き」を確認します。

脱力時の脚の外旋ですね。指で押して、脚の小趾が床につくかをチェックします。

足首を持ち、内踝で脚の長さをチェックします(脚長差は骨盤の歪みと考えることが多いです)。

その上で、脚をバットマンしてもらい(寝た状態で)、抵抗をかけた状態での左右差などを見ます。

 

他に普通に立ってもらって、肩の高さや腰の高さ、脚の長さ、つま先の角度、首の角度、手の長さなどを目で観察し、動いているときに動きの癖なども観察します。

 

これらのベタなテストによって、様々な可能性を潰していくのです。

 

必要であれば、前屈や後屈やバレエの動き(ヨガのアーサナ)などをしてもらってチェックします。

 

 

というか、実際はこれらのテストによって、スクリーニングされるような症状であれば、これらの整形外科的テストをした先から気功整体で改善させていき、フィードバックを取ってもらいます。

 

ポイントはこれらのスクリーニングを通過したケースです。

 

これらのスクリーニングを通過した以上は、多くの可能性が潰されているので、ポイントは絞れていきます(感触としては、絞れているというよりは広がっていますがw)。

 

そしたら、解剖学に基づいて、ひとつひとつ可能性をつぶしていきます。

 

ただ「解剖学に基づいて、ひとつひとつ可能性をつぶす」と言っても、これもプロトコルというか、プライオリティに沿っていきます。

シンプルに言えば、大きくて深層にある筋肉からやるということです。

大きくて深層というと、腸腰筋がベタですが、まさに腸腰筋からやります。

腸腰筋をチェックして、改善して、それで主訴が改善するかを確認します。

 

 

ちなみに気功整体ですと、一挙にゴールが達成されまくることがあります。

いくつものゴールテープが切られていくのです。

これは素晴らしいことのようですが、セラピスト側は非常に焦ります。

というのも、ゴールの達成ほど恐ろしいことは無いからです。

ですので、施術をしながら、改善させながら、ゴールを意図的に更新させていきます(←これかなり重要)。

 

実際にできるようになったこと、改善したこと(可動域の改善から、運動状態の改善まで)を明示して、本人に確認しつつ(ビデオや写真も駆使します)、次の飛び石(ゴール)をどんどん提示します。

 

(ちなみになかなか理解されないことの1つですが、ゴールを達成してしまい、更新されたゴールが無いと人は、シンプルに言えば廃人のようになります。続くと鬱のようになります。エネルギーが出てこなくなるのです。かなりヤバいです。でも周りはそんなことに気付かず、ゴール達成の華やかさだけを見て、喜びます)

 

 

ちなみに「まといのば」のメンバーには、整体所のオープンというゴールというかExitを提示していますが、BootCampの第一弾となる気功整体師養成スクールでは、その先のExitも示します(かなりお楽しみに!)。

 

僕らはパンのみに生きるにあらずですが(むしろグルテンゆえにパンは避けたいですがw)、神の言葉ならぬゴールがなければ1秒も生きていけないのです。

 

 

話がフラフラしていて申し訳無いのですが、シンプルに話を戻します。

 

まとめると、、、

 

情報とは、何を知っているかではなく、起こりうる別の可能性を計測したものです。

(厳密にはこれは情報量の定義ですが、科学というのは測定可能なものを測定することで議論の俎上に載せます。ですから、測定可能であることが重要です。情報とは何かを聞くのではく、情報量はどう測定されるかを聞くべきなのです)

 

とすると、何かを知りたい(情報を得たい)と思ったときのアプローチの1つは、他の起こりうる別の可能性を潰すことです(だから警察は捜査の際に、アリバイからチェックします。犯人を探すのではなく、犯人ではない可能性から潰していくのです)。

 

ゴール設定にせよ、気功整体にせよ、謎解きであり、このプロセスを踏襲する(科学の仮説と検証も同じです。とは言え、仮説と検証と言うと、宇宙のどこかにある真理を探し出すイメージがあるので、その逆です。他の可能性を潰す作業です。その中で潰せない変則性からパラダイム・シフトが起こります)。

 

 

というわけで、分かる人にはよく分かる話ながら、文字で書くにはそぐわない(絵を文字だけで解説するような)話になっていて申し訳ありません。

ただ、このシンプルな思考の転換はかなり重要ですし、肩から荷が下りると思う人も多いのではと思っています!

 

 

 

 

【書籍紹介】

 

今回のブログ記事のタイトルはカルロ・ロベッリの「すごい物理学講義」の一節を少し改変。

邦題のタイトルは「すごい」酷い感じがしますがw、中身は最高です。

 

僕らは「宇宙をプログラムする宇宙」などで慣れ親しんでいる考え方なので(そしてソクラテスやプラトンやアリストテレスや文学がふんだんに出てくるところも、寺子屋で慣れ親しんでいるでしょう)、読みやすいと思います。

 

ただ、非常によくまとまっていて、頭の良さが分かります。

 

彼はループ量子重力理論の人なので、そのバイアスは入るにしても、超ひも理論(超弦理論)がちょっと野暮ったく見えるほどです!

 

すごい物理学講義 すごい物理学講義
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(引用開始)一九四八年、数学者であり工学者でもあったアメリカ人のクロード・シャノンが、「情報」という用語の科学的な意味を定義した。シャノンが考えた情報の概念はじつにシンプルである。彼によれば、情報とは、「起こりうる選択肢の数を計測したもの」である。たとえば、わたしがサイコロを投げたとすると、目の出方は六通りある。転がったサイコロが、ある特定の面を上にして静止したなら、わたしは「N=6」の情報を得たことになる。なぜならこの場合、「起こりうる選択肢」の数は六であるから、わたしがあなたの誕生日を言い当てようとするなら、三六五通りの答えから正解を選ぶ必要がある。あなたがわたしに誕生日を教えてくれれば、わたしは「N=365」の情報を得たことになる。万事がこの調子である。

情報を明示するには、「選択肢の数N」よりも、「2を底とする対数N」の方が便利である。この対数をSと呼ぶ。したがってシャノンが定義した情報はS=LogNと表現できる。このNは、先に説明した「起こりうる選択肢の数」を示している。この方式を採用するなら、情報の最小単位はS=1となり、これはN=2に相当する。(なぜなら、1=Log2であるから)。N=2とは、起こりうる選択肢が二通りしかない状況を指す。このような二つだけの選択肢から成る情報をもとにした計量単位を「ビット」と呼ぶ。ルーレットで、黒ではなく赤の目が出ると分かっているなら、わたしは1ビットの情報をもっている。もし「赤」かつ「偶数」の目が出ると分かっているなら、わたしは2ビットの情報をもっている。もし、「赤」かつ「偶数」かつ「18以下」の目が出ると分かっているなら、わたしは3ビットの情報を持っている。(引用終了)

 

この感触を持ったまま是非、寺子屋「シャノンの情報理論」を再度視聴して受講してみてください。

分かればよく分かる話なのですが、わからないとどこまでも砂を噛むようです。

なぜかと言えば、パラダイム・シフトを要するからです。世界の見方の改変です。

 

それを通過すると楽しい世界が待っています。

 

たとえば、情報の最小単位は誰が考えても1ビットです。

ということは時間も空間も最小単位がありそうだというのは自然です(量子論ですね)。

 

またルーレットの予知が可能かに関して、ファインマン先生の予想を覆し、実験を繰り返して実際に予知がかなりできることを示したのがシャノンとエドワード・ソープでした!

 

 

カルロ・ロベッリは4冊のうち3冊が邦訳済みですので、読んでおきましょう。

「宇宙をプログラムする宇宙」で苦労した人は、その苦労が報われます!

 

 

時間は存在しない 時間は存在しない
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「時間の哲学」についての言及もされています。

第七章の注に。

(引用開始)

ジョンマクタガートの時間に関する有名な論文(『時間の非実在性』[永井均訳、講談社))の専門用語によると、これはA系列(「過去、現在、未来」というように時を組織だてること)が現実であることを否定するのに等しい。このとき時間的な決定の意味は、B系列(「〜の前、〜の後」というふうに時間を組織だてること)のみに還元される。マクタガートにとって、これは時間の実在を否定することを意味する。わたしに言わせると、マクタガートの視点は硬すぎる。わたしの自動車が、想像したものとも、自分の頭のなかであらかじめ定義したものとも異なる形で機能したという事実があるからといって、わたしの自動車が実在しないことにはならない(引用終了)

 

 

久々に!

 

 

全然関係ないのですが、ドラマ化もされたらしい医療漫画のフラジャイルが面白いです!

病理医の世界です!