整体をしていくときは、まずは目で見て、ここが硬そうだなとか、ここが詰まっているというところをある程度、見当をつけておきます。
たとえば、施術所に入ってきて、顔を合わせて、挨拶するときなどに、さっと全身を見ておくと良いです。
「さっと全身を観る」などと言うと、難しい感じがしますが、観るコツがあります。
それは、理想の身体の状態をイメージとしてしっかり持っておくことです。
理想的な身体の筋肉の状態や、動きなどをイメージとして持っておいて、それを相手の動きにぶつけるのです。ぶつけるというのは、並べて置く程度の意味です。
そうすると差分が取れます。
理想の身体の動きと、実際のクライアントさんの動きとの差です。
「あ、肩が上がっているな〜」とか、「左足だけ前に出る癖があるな」とか、「腰が明らかにずれているけど、辛くないのかな」とか見えてきます。
クライアントさん自身を一生懸命、観るというよりは、理想のイメージと比較しながら、差分を取っていく感じです。
その上で、『腰が痛い」とか、「アンディオールが開きにくい」などの主訴を聞きながら、とりあえずどんな対応をするかを決めちゃいます。
対応を決めて、それに合わせて、自分のスクリプト(原稿)からいくつか見繕っておいて、それを勝手にベラベラ話しながら、観察に全力を注ぎます。
話をしながら、相手のゴールを見抜きましょう。
直接聞いてもいいですし、提案してもOKです。
ベタな質問は(ちょっとIQを下げ気味にして)「腰が楽になったら嬉しいですか?」などと聞くことです。もしくは、アンディオールであれば、その場でアンディオールをやってもらったり、プリエやタンジュをしてもらえば、いろいろなことが分かります。
足だけでアンディオールをやろうとする人もいれば、きちんとマナー良く全身を連動させる人もいます。
そうやって、普段の練習態度や取り組み方も見えてきます。
こちらが聞いてないことまで、どんどん話すタイプもいますし、質問してもほとんど答えない人もいます。
ちょっと話すだけでも、性格のタイプも見えてきます(単に痛すぎて話す元気がないだけとか、単に緊張が強いだけもありますので、結論は出さない方がいいですが)。
目で見る段階が終わったら、触ってみます。
軽く触ると表面の状態が分かります。
軽擦(けいさつ)は大事ですが、これはさすっているのではなく、情報を取りに行くときです。
表面の状態でかなり硬さ柔らかさは分かります。
そしてどこが一番硬いのかも見えてきます。
これが第二段階目です。
復習しましょう!
はじめが目で観る、次に触れてみる、そしてラストが実際に揉んでみます。
圧をかけると、あっさり緩む場合もあれば、意外と深いところが深刻だったりします。
揉む段階では、正確に身体の解剖が分かっていた方が良いです。
ここはどの部分というのが解剖として分かっていて、仮説を持って触れます。
どうやって身体の解剖を理解するかと言えば、まずは見た目から骨の位置と筋肉の位置を推定しておき、触れながらそれを確認していきます。
身体には標識となるような場所がいくつもありますので、それを確認しながら、解剖を頭のなかにイメージしておくことです。
どの筋肉のどの部位を触っているかをイメージできてから、揉んでいきます。
面白いもので、この解剖の理解が正確であればあるほど、施術の精度は上がります。
筋肉の走行なども意識したいところです。
解剖が正確にわかるメリットは、腱や靭帯にアプローチできるからです。
初心者のころは、筋腹を触るのが良いです。
筋腹を強く押しすぎても、それほど問題はありません。
そして筋腹は分かりやすいので、硬いやわらかいもフィードバックが取りやすいです。
変化にも敏感に対応できます。
でも慣れてきたら、筋腹はチェックにとどめて、付着部を刺激したいのです。
筋肉を深く素早くゆるめるコツは付着部への刺激です。
骨から筋肉を剥がすように、などと言います。
脊柱起立筋群は脊椎の棘突起から剥がしたいのです。
前脛骨筋は脛骨から剥がしたいのです。
実際に剥がれたら大変ですが(笑)、施術の感覚としては剥がすようにします。
すると付着部を刺激することで、筋腹を含めたその筋肉全体がゆるみます。
これは次回の「まといのば講座」などで是非実習できたらと思うのですが、下腿三頭筋をゆるめるのは揉んでいるだけではなかなか難しいものです。
でも、腓腹筋・ヒラメ筋を覆っている筋膜は脛骨で付着しています。
筋繊維を置いておいて、筋膜だけが脛骨にくっついているのです。
いわゆるアキレス腱です。
腱や靭帯は筋膜だと考えると、施術がシンプルで効果的になります。
筋肉を覆っている筋膜は付着部で骨にくっつきます。これが腱です。
ということは、腱は筋膜なのです(正確には筋筋膜)。
ということは、腱は筋膜リリース可能ということです。
僕らが習った頃は、腱や靭帯には触れてはいけないと言われました。触って、傷めることがあるから、というのがその理由です。
たしかにその通りですし、腱や靭帯同様に、筋肉も壊れやすく痛みやすい臓器です。
触り方にも細心の注意が必要です。
しかし、解剖がわかっていて、触れ方が分かっているならば、腱への筋膜リリースは非常に有効な技です。
たとえば、アキレス腱をつまんで圧をかけます。
その上で、すぐに下腿三頭筋をチェックしましょう。
アキレス腱をつまむときは、「骨から筋肉を剥がす」とイメージしなくても良いですが、脊柱起立筋群や前脛骨筋や上腕筋、大腿四頭筋などはすべて骨から剥がすイメージでOKです。
アキレス腱のときは、つまむことで下腿三頭筋が外れると思うくらいでOKです。
すると、それまでどれだけやってもゆるまなかった下腿三頭筋(腓腹筋・ヒラメ筋)がズルンとゆるんだりします。
(どうでもいいことですが、よくCMでヒラメ筋と言われているのは、腓腹筋です)(ボコッとしているのが腓腹筋で、平べったいのがヒラメ筋、、、、と覚えますが、実際にはヒラメ筋もかなりボコッとしています。ただ表面に近いのは腓腹筋です)。
この施術を片方だけやると、やったほうの足だけが吸い付いた感じになります。
非常に面白いです。
この感覚を繰り返しやってつかめたら、すべての筋肉の腱を攻めることができます(もちろん解剖学と正確な観察力が必要です。自分の膝を触れるような感じで、クライアントの上前腸骨棘や三角筋に正確に触れられるように鍛えましょう)。
*腓腹筋です。この奥にヒラメ筋がいます。
というわけで、整体においては、3度クライアントの身体を観るチャンスがあります。
まずは目で見て、次に触れてみて、そして揉みながら深いところの筋肉を見ます。
見ながら、ともかく硬いところを順次解消していけば、身体は勝手に整っていきます。
もちろん、一番硬いところをほぐせば良いわけではなく、相手のゴールに寄り添いながら、良い塩梅を探してください!!
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