テクニックにこだわりすぎると、足元をすくわれ、物語にフォーカスするとテクニックが活きてきます。
バレエの話?
いえいえ、(バレエもそうなのですが)、今回はヒーリングの話です。
気功技術は大切です。テクニックはとても大切なのですが、テクニックにおぼれてしまうと、ヒーリングがうまくできなくなります。
「まといのば」の真面目なヒーラー達でとても多いのは、理論や気功技術をしっかりとセミナーやスクールで学び、自分でもひたすら実践し(ブログも繰り返し読み、参考図書もしっかり読み)、そして、、、、なんかあんまりうまくヒーラーとして活躍できないというケースです。
真面目すぎる彼らは自分の抽象度が足りない、理論が足りない、IQが足りないとまたガツガツ勉強していきます。
しかし、、、、なんかあんまりうまくヒーラーとして活躍できないのです。
ヒーラーとして結果を残せないのは、自分の修行が足りないからだとますますお勉強に邁進します。
そしてあとから来た若い子たちに(老いも若きもですが)どんどん抜かれていきます。
彼らには才能と何か素質があるのだろうと考え(まあ、そういう場合も多いですがw)、ますます勉強に邁進します。
このように、あとの者は先になり、先の者はあとになるであろう(マタイ20:16)
幼い頃には楽しく読んでいたブドウ園の譬えがこれほど妬ましく思えることもありませんw
さて、僕らはどこで道を間違えたのでしょう。
ちなみに道を間違えること(方角を間違えることを「方違え」もとい)Misdirection(ミス・ディレクション)と言います。
僕はミスダイレクションと言うのが好きです。
これは手品の最重要テクニックです。手品のテクニックはシンプルですが、ミスダイレクションによって、不思議感を高めます。
ミスダイレクションって何という方は、ミスダイレクションで生計を立てていた(と自称する、いや自首している)アポロ・ロビンスから解説を聞いてください。
人の注意力を操作することで、目の前で堂々とトリックを施すことができます。
たとえば、自分以外の周りの時間が止まるタイムストップみたいな感じです。堂々と好きなことができます。
ミス・ディレクションはスコトーマを強制的に生じさせ、そのスコトーマに隠れて、やりたいことをやるのです。
まあ、本来の話に戻すと、件(くだん)の優秀なメンバーさんは自分で自分をミス・ディレクションに追い込んでいます。
テクニックを磨いたり、理論を学んだり、IQを上げたり、一生懸命、音声や教材を繰り返し視聴して学ぶのはとても大事です。
とても大事なのですが、、、、
ここで、ちょっと余談を、ダレン・ブラウンは面白いことを言っています。
マジックの魅惑的で、もどかしくて、素晴らしいところは、何年かけて練習したとしても、その練習自体には何の意味もないということだ。(ダレン・ブラウン『メンタリズムの罠』p.52)
これはヒーリングにも当てはまります。
いや、バレエやダンスもそうです。
では、どうすれば良いのでしょう。
ダレン・ブラウンの言葉に少し耳を傾けましょう。
マジック界には趣味のパフォーマーが大勢いて、彼らはとても長い時間をかけて技や衣装や飾りを完璧に仕上げている。それ自体、恥ずべきことではないが、マジックという不思議な体験を娯楽的な方法を使って創り出すマジシャンの能力と、この執念とはほとんど関係がない。
か、か、関係がない???
(ヒーラー界には趣味のヒーラーが大勢いて、、、)
そうなんです。同じことを繰り返しています(なぜ同じことを繰り返すかと言えば、僕らの目が節穴すぎて、僕ら耳が詰まっていて、何度言われても見ない、聞かないからです)。
コメディアンになりたいと思ったら、その肩書を背負うためにもまず舞台に上がり、パフォーマンスをすることから始めなければならない。(p.53、同上)
ヒーリングも同じです。
ここがミスダイレクションなのです。
そしてもう一つのMisdirectionは気功技術それ自体の存在です。
僕らは気功技術にフォーカスしすぎるために、悪い意味でのMisdirectionを自分に対して引き起こしてしまいます。
僕らのヒーリングというマジックのトリックの中心は決して気功技術ではありません。
平たく言えば「心が宇宙を創り出す」ということがタネです(これがシークレット中のシークレットです。大事なことですが繰り返しません)。
気功技術自体は上手にフォーカスを切り替えることで、Misdirectionさせるための脳と心のための撒き餌です。
ダレン・ブラウンは
マジックのほとんどはトリックが終わってから起こる。これは奇術の興味深い原理だ。(p.54 同上)
と言います。
興味深い原理なのは、奇術だけではなく、ヒーリングも同じです。
気功技術とヒーリングの結果は関係無いと言えるほどです。
それは観客の頭の中にしか存在しない体験で、その体験はきみの技術が導き出したのかもしれないが、技術そのものと体験は同じではない。それは観客の体験の中にあり、マジシャンが使っている手法の中で見つかることはないのだ。つまり何よりも大切なのはプレゼンテーションということになる。
どのような物語を紡ぐかがポイントです。
目の前のヒーラーが自分を癒やしてくれる、自分の人生を大きく変えてくれると期待しているのですから、それに相応しい期待以上の物語を紡ぐことです。
そして周りにあるものがその舞台に相応しい小道具なのです。
つまり、マジックとは何かというと、ごまかしや、すり替えや、膝の上にコインを落とすことではない。相手を手際良く、巧みに誘導し、不思議な体験をしているのだと思わせるような関係を相手とのあいだに踏み込んで作り上げることだ。(p.54、同上)
マジックとは「不思議な体験をしているのだと思わせるような関係を相手とのあいだに踏み込んで作り上げること」というのは重要なポイントです。ヒーリングも同じです。
我々はソフィストや論理学者ではなく、ストーリテラーになるべきなのです。
物語を語るべきなのです。
それも、言葉をなるべく使わずに。
気功技術や理論によって、論理で相手をねじ伏せて内部表現を書き換えようとしても、それは無駄です。ホメオスタシスの返り討ちになるだけです。
ホメオスタシスを味方につけるには、ホメオスタシスくんがうっとりと聞き惚れるような素晴らしい物語を創り出し、染み込ませることです。
マジックと同様、ヒーリングもテクニックを用い終わったあとに、相手の脳内だけで起こるものです。そして、相手の脳内だけで起こるからこそ、相手のリアリティが変更されるのです。
その現実世界での結果の落ち穂拾いが、フィードバックです。
まあ、とはいえ、上手に騙すためには、テクニックも洗練されていないとダメですけどね〜(笑)