いやいや、大正は15年までですし、16年は昭和2年でしょうというツッコミは確かにその通りです。
大正はたしかに15年12月25日までです(即日改元なので、昭和元年12月25日と大正15年12月25日が同居しています。そしてニュートンのお誕生日でもあります、ユリウス暦ですが)。
ですので、本来大正16年となるはずの年(1927年)は昭和2年となります(昭和元年が数日で終わるので)。
ただ印刷所としてはもう12月前に印刷が終わっているので、大正16年1月1日発行の未来予想図というのが存在するのです。
子供向けの雑誌の付録です。
この90年前の未来予想図を見て、タレブの正しさを再確認しました。
*ちなみにその未来予想図をどこで見たかと言えば、北原照久さんのコレクションを展示していあるミュージアムの一つです。
北原さんのミュージアムは全部制覇したいと思ってます!
いまから90年前の未来予想です。
これは未来予想図のすごろくゲームです。
雑誌(「日本少年」)の付録です。
*左端に実際に大正16年1月1日発行とありますw
その幻の大正16年元旦発行の未来予想図から見た90年後の我々の世界を見てみましょう。
避暑は月世界
軽井沢や箱根が栄えたのも昔のはなし、今は猫も杓子も月世界へー
とあります。
ちなみに「地球は青かった」のガガーリンが1961年、あわてたアメリカが月面着陸したのが1969年です。
面白いのは、「軽井沢や箱根が栄えたのも昔のはなし」とあることです。
そして軽井沢や箱根は今も栄えていますし、月旅行どころか、ガガーリンレベルの宇宙旅行すらもまだもう少し実現に時間がかかりそうです。
ちなみにこの100年以上前に一夜湯治事件なるものが箱根で勃発します。
これは宿場と温泉場の利権争いです。興味深い事件です。
1805年7月に箱根・小田原の両宿場が、温泉場を奉行所に訴えます。
いまから90年前の未来予想です。
これは未来予想図のすごろくゲームです。
雑誌(「日本少年」)の付録です。
*左端に実際に大正16年1月1日発行とありますw
その幻の大正16年元旦発行の未来予想図から見た90年後の我々の世界を見てみましょう。
避暑は月世界
軽井沢や箱根が栄えたのも昔のはなし、今は猫も杓子も月世界へー
とあります。
ちなみに「地球は青かった」のガガーリンが1961年、あわてたアメリカが月面着陸したのが1969年です。
面白いのは、「軽井沢や箱根が栄えたのも昔のはなし」とあることです。
そして軽井沢や箱根は今も栄えていますし、月旅行どころか、ガガーリンレベルの宇宙旅行すらもまだもう少し実現に時間がかかりそうです。
ちなみにこの100年以上前に一夜湯治事件なるものが箱根で勃発します。
これは宿場と温泉場の利権争いです。興味深い事件です。
1805年7月に箱根・小田原の両宿場が、温泉場を奉行所に訴えます。
内容は湯本温泉や畑宿など宿場以外の場所に旅人が休泊することを取り締まって欲しいというものです。
既得権益と新興の良くある対立と、お上への陳情ですね。
で、結論からすると温泉場側の勝利に終わります。
と、まあこの頃から栄えているわけで、そして100年後の今も栄えていますw
*温泉はもちろんのこと、桶も手ぬぐいも古い古いテクノロジーです。
タレブが新刊で未来予想や予言について非常に面白いことを言っています。
シンプルにまとめると、「私たちの世界は、当時の人々が想像した(想像しようとした)世界よりも、当時の世界にずっと近い」(下巻 No.1546/5069)ということです。
未来は過去とそれほど変わらないということです。
そして我々はバイアスによって、「技術が支配する未来を予測してしまう」と言います。
たしかにこの大正16年の未来予想図に関してはその通りです。
僕はふとSF映画を思い出しました。
「her 〜世界で一つだけの彼女〜」という人工知能と人間のラブ・ストーリーです。
切ない物語です。
このときの映画製作者たちが、未来を足し算ではなく引き算で描いたと聞いたことがあります。
未来を描くときに多くの場合はテクノロジーを追加しようとします。
しかし彼らはその逆をやったのです。そしてそれが妙なリアリティーを産みます。
繰り返しますが、未来と過去はそれほど大きく変わらないのです。
タレブはそれを絶妙な手腕で描いてみせます。
「今夜、私はレストランで友人と会う予定だ」から始まるタレブ節を是非、本書で堪能して欲しいのですが、、、
レストラン(食堂)は少なくとも25世紀前から存在し、靴は5300年前に履かれていたものと変わらず、メソポタミアの技術である銀食器を使い、6000年以上前から愛されているワインを飲み、そのようなグラスというかガラス製品は少なくとも2900年前から使われており、何世紀も前から変わらない製法のチーズを食べる、と。
昔と今がほとんど変わらないのです。
*温泉はもちろんのこと、桶も手ぬぐいも古い古いテクノロジーです。
タレブが新刊で未来予想や予言について非常に面白いことを言っています。
シンプルにまとめると、「私たちの世界は、当時の人々が想像した(想像しようとした)世界よりも、当時の世界にずっと近い」(下巻 No.1546/5069)ということです。
未来は過去とそれほど変わらないということです。
そして我々はバイアスによって、「技術が支配する未来を予測してしまう」と言います。
たしかにこの大正16年の未来予想図に関してはその通りです。
僕はふとSF映画を思い出しました。
「her 〜世界で一つだけの彼女〜」という人工知能と人間のラブ・ストーリーです。
切ない物語です。
このときの映画製作者たちが、未来を足し算ではなく引き算で描いたと聞いたことがあります。
未来を描くときに多くの場合はテクノロジーを追加しようとします。
しかし彼らはその逆をやったのです。そしてそれが妙なリアリティーを産みます。
繰り返しますが、未来と過去はそれほど大きく変わらないのです。
タレブはそれを絶妙な手腕で描いてみせます。
「今夜、私はレストランで友人と会う予定だ」から始まるタレブ節を是非、本書で堪能して欲しいのですが、、、
レストラン(食堂)は少なくとも25世紀前から存在し、靴は5300年前に履かれていたものと変わらず、メソポタミアの技術である銀食器を使い、6000年以上前から愛されているワインを飲み、そのようなグラスというかガラス製品は少なくとも2900年前から使われており、何世紀も前から変わらない製法のチーズを食べる、と。
昔と今がほとんど変わらないのです。
タレブ節で堪能してください!
(引用開始)
今夜、私はレストランで友人と会う予定だ(「食堂」は少なくとも25世紀前からある)。私はオーストリアのアルプス山脈で発見されたミイラが5300年前に履いていたのとそんなに変わらない靴を履いて、レストランまで歩いていく。レストランに着いたら、メソポタミアの技術である銀食器を使う。指がやけどすることなく、子羊の脚を切ったりできるのだから、十分に"キラー・アプリケーション”の名にふさわしい。それからワインを飲む。6000年以上も前から愛されているお酒だ。ワインはグラスに注がれるが、私の祖国・レバノンの人々は、フェニキアの祖先たちがガラスを発明したと主張している。納得できないって? それなら、少なくとも2900年前から、この地域でガラス製品がアクセサリーとして売られていたのは事実だ。メインコースを終えると、もっと原始的な技術が登場する。アルチザン・チーズだ。私たちは、何世紀も前から製法の変わっていないチーズに、ふつうよりも高いお金を払うのだ。
(略)
食事はどても古い技術(火)を使って料理される。調理には、古代ローマ時代から変わっていない台所用品や器具が使われる(使われている金属の質は違うだろうが)。私は(少なくとも)3000年前から使われている「椅子」という名の道具の上に座る(しかも、古代エジプトの豪華な椅子と比べれば味気ない)。
(下巻 No.1557/5069)
火はプロメテウスがもたらしました
たしかに我々はまだ移動には足を使います。
もちろん電車も車も飛行機も移動手段としてありますが、どれも当時すでにありました(ライト兄弟が1903年、電気機関車は1837年、ガソリン自動車は1870年)。
当時の未来予想では、95年後すなわち現在から5年後にはひとりひとりが「歩くも飛ぶも自由自在」のはずです、、、
現実は「飛行機も要らぬは、自動車も要らぬ」とはなっていませんし、まあこの先90年はならないのでしょう。
未来は過去と、とてもとても似ているのです。
世界的なコレクターである北原 照久さんがコレクションを始めるきっかけとなったのが、大学時代にオーストリアに留学していたときの経験だったそうです(上記の未来予想図も北原さんのコレクションの一つです)。
ホームステイ先の暖炉の上に古い銅製の鍋が置いてあり、「これは祖父母の代から使っているお鍋で、これで料理すると何でも美味しくできるのよ」と毎回紹介され、そして実際にシンプルな料理なのに魔法のように美味しかったとご本人がテレビの取材で語られていました。
そしてこのオーストリアの体験が、古いものを大切に長く使う体験こそが、コレクションのきっかけの一つだったそうです。
*タレブの新刊より
*ポンペイの調理器具。現代のキッチンとそう変わらない(いや、現代でも立派なほうだ)。
*ポンペイはご承知のとおり2000年前のイタリアです。そしてその生活はほとんど現代と変わらないそうです。c.f.古代都市ポンペイは、現代社会にそっくりだった
ファストフード店や高級輸入食材、遺跡の修復プロジェクトで判明
新しいものはすぐに古くなり、古いものはどんどん新しくなります。
当時の未来予想では、95年後すなわち現在から5年後にはひとりひとりが「歩くも飛ぶも自由自在」のはずです、、、
現実は「飛行機も要らぬは、自動車も要らぬ」とはなっていませんし、まあこの先90年はならないのでしょう。
未来は過去と、とてもとても似ているのです。
世界的なコレクターである北原 照久さんがコレクションを始めるきっかけとなったのが、大学時代にオーストリアに留学していたときの経験だったそうです(上記の未来予想図も北原さんのコレクションの一つです)。
ホームステイ先の暖炉の上に古い銅製の鍋が置いてあり、「これは祖父母の代から使っているお鍋で、これで料理すると何でも美味しくできるのよ」と毎回紹介され、そして実際にシンプルな料理なのに魔法のように美味しかったとご本人がテレビの取材で語られていました。
そしてこのオーストリアの体験が、古いものを大切に長く使う体験こそが、コレクションのきっかけの一つだったそうです。
*タレブの新刊より
*ポンペイの調理器具。現代のキッチンとそう変わらない(いや、現代でも立派なほうだ)。
*ポンペイはご承知のとおり2000年前のイタリアです。そしてその生活はほとんど現代と変わらないそうです。c.f.古代都市ポンペイは、現代社会にそっくりだった
ファストフード店や高級輸入食材、遺跡の修復プロジェクトで判明
新しいものはすぐに古くなり、古いものはどんどん新しくなります。
タレブに言わせると、iPadなどのタブレットは石版なのです。
*初代のiPadがいろいろな意味で重すぎるとブチ切れるモーセ(冗談です)。
シンギュラリティー後のAIが支配する未来というのは、奴隷が多くいた古代ギリシャや古代ローマのような世界なのではと僕は根拠なく想像しています。
そうすると古いものはますます重要度を増します。
古典、古典、古典ですね〜
そして鍛え上げた肉体は古代ギリシャにおいても、古代ローマにおいても重要でした。
東洋で言えば、祇園精舎ならぬ竹林精舎のイメージでしょうか。
托鉢してくれる民衆がAIに変わるイメージです。
未来は過去と似ているのです。
とすると、我々がやるべきことはシンプルです。
長く生き残るものが見えたら、それだけを愛でることでしょう。
というわけで、地球を感じながら、温泉に行ってきます!
【書籍紹介】
反脆弱性[上]――不確実な世界を生き延びる唯一の考え方/ダイヤモンド社
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反脆弱性[下]――不確実な世界を生き延びる唯一の考え方/ダイヤモンド社
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ブラック・スワン[上]―不確実性とリスクの本質/ダイヤモンド社
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ブラック・スワン[下]―不確実性とリスクの本質/ダイヤモンド社
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まぐれ―投資家はなぜ、運を実力と勘違いするのか/ダイヤモンド社
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強さと脆さ/ダイヤモンド社
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ブラック・スワンの箴言/ダイヤモンド社
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