もしそれが罪であるならば、わたしは有罪であり、それを誇りに思う(デービッド・ロックフェラー) | 気功師から見たバレエとヒーリングのコツ~「まといのば」ブログ

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陰謀論と言うと思い出すのは、ゲーテの言葉です。


より正確に言えば、ゲーテのほぼ処女作であり、多くの自殺者を出したDeath Note(デスノート)のような悪魔の書でもある「若きウェルテルの悩み」の一節です。

ゲーテ自身の悲恋をもとに書き上げられたこの作品は非常に切なく辛い物語です。

青年ウェルテルが恋した相手はすでに婚約していました。叶わぬ恋に燃え上がり、絶望し、自殺するまでを描いています。

自殺以外はゲーテの体験そのものです。同じような境遇にあった友人が拳銃で自殺し、その報を受けて、小説を書くことを決めたそうです(その友人は人妻を愛してしまったそうです)。


晩年にゲーテはエッカーマンにこう語っています。

もし生涯に『ウェルテル』が自分のために書かれたと感じるような時期がないなら、その人は不幸だ

と。


一方で、ゲーテ自身は読み返すことは一度しかなかったようです。

自分にとって、あまりに生々しい自分の体験がつづられているために「出版されてから、私はただ一回しか読みかえしたことがなく、ふたたびとは読まないようにしている。あれは危険な花火だ!」とも語っています。


*『若きウェルテルの悩み』の挿絵のひとつです。
*『ウェルテル』は同時代のナポレオンの愛読書でもありました。


その中にこんな一節があります。


友よ、こんなささいな事件にかかわってみても、いつもながら経験することだが、世の中のいざこざの因(もと)になるのは、奸策や悪意よりも、むしろ誤解や怠慢だね。すくなくとも、前の二つのほうがまれなことはたしかだ。
(ゲーテ「若きウェルテルの悩み」岩波文庫・竹山道雄訳)


*生木を裂くような辛い失恋から40年後に奇しくも、未亡人となったかつての婚約者のロッテとゲーテは再開します!
しかし、それは決して甘美なものではなかったようです(トーマス・マンがそれを題材に小説を書いているほどです)。



僕自身が巷の陰謀論に感じるのも、同じような感触です。

世の中のいざこざの因(もと)になるのは、奸策や悪意よりも、むしろ誤解や怠慢」です。


富が偏在するのは、陰謀でも搾取でもなく、複雑系の性質であり、純粋に数学によるものです(むしろ公平に分配されたとしたら、大きな力が働いているか、何かがおかしいのです)。

悪意が存在しないとは思いませんし、陰謀もたくさんあるでしょうが、しかし多くを陰謀論で済ましてしまうのは、悪の過大評価と自身の思考停止なのかもしれません。まさに「むしろ誤解や怠慢」ゆえです。



デービッド・ロックフェラーさんも毀誉褒貶がありますが、有名なのは以下のセリフでしょう。


*ジョン・ロックフェラーと孫のデービッド・ロックフェラー(*^^*)


デービッド・ロックフェラーと言えば、ご承知のようにいわゆる「陰謀論」の中心にいつもいます。

そして、デービッドさん自身を批判する人の中には、彼がアメリカの国益に反する秘密結社に属し、One Worldを構築しようとたくらんでいると考える陰謀論者の方々もたくさんいらっしゃいます。


そんな前置きのあとに、デービッドさんは衝撃の告白をします。


もし、それが罪であるならば、わたしは有罪であり、それを誇りに思う。



このどんでん返しはお見事ですが、その真意は正直に言って良く分かりません。



しかし、彼が彼らなりの方法で世界をより良い場所にしようと信念をもって行動していたのは事実だと思います。そしてその多くは成功していることも。



真実はわかりやすい形で提示されることはなく、いま自分が現実だと思っているカーテンの後ろ側に隠れていて、それを観るためには知性と根気と抽象度が必要かと思います。





わかりやすい陰謀論で世界が説明されることはなく、世界の不可思議なカラクリを決して賢くない人が見えることも無いように思います(なぜかその賢くない人だけに提示されることも、まずないと思います)。

我々は誠実に丁寧に抽象度の階段を登っていって、少しずつ世界が自分に拓かれていくのを味わうしかありません。


いずれにせよ、デービッド・ロックフェラーさんのご冥福をお祈りします。



【参考書籍】
引用はこちらからです!!
若きウェルテルの悩み (岩波文庫)/岩波書店

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若きウェルテルの悩み ─まんがで読破─/イースト・プレス

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お馴染みのエッカーマンとゲーテとの対話集。

ゲーテとの対話(全3冊セット) (岩波文庫)/岩波書店

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*「もし生涯に『ウェルテル』が自分のために書かれたと感じるような時期がないなら、その人は不幸だ


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