【募集開始】宇宙は巨大なビリヤード台 決定論→確率論→複雑系〜ラプラスの魔からブラックスワンまで | 気功師から見たバレエとヒーリングのコツ~「まといのば」ブログ

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宇宙が巨大なビリヤード台で、原子が球だとしたら、、、、神さまはビリヤード遊びをしていることになります。

ただ神さまは途中過程には基本的に介入できず、唯一介入できるのはビッグバンのときのみです。
(ここではビッグバンを宇宙創生の瞬間という意味で使っています。ビッグバンの前のインフレーションが、、、みたいな話はしていませんw)

ビッグバンがキューでの一突きであり、あとは玉がビリヤード台の中をあちらこちらへ移動します。それは完全に物理法則に従うので、神はただ眺めるだけです。


*神さまもこんな感じで粋に遊ばれているのでしょうか?我々は右往左往するただの球にすぎないのでしょうか?w


すなわち、宇宙が巨大なビリヤード台だとしたら、ビッグバンという神の一突きのみが「自由」でそれ以降の宇宙は完全に決定されていることになります。決定論です。



それをラプラスはこう表現しました。ラプラスは18世紀のフランスの数学者であり物理学者、そして天文学者です。

1812年にラプラスはこう書いています。

(引用開始)
もしもある瞬間における全ての物質の力学的状態と力を知ることができ、かつもしもそれらのデータを解析できるだけの能力の知性が存在するとすれば、この知性にとっては、不確実なことは何もなくなり、その目には未来も(過去同様に)全て見えているであろう。
(引用終了)(ピエール=シモン・ラプラス『確率の解析的理論』1812年)

いわゆるラプラスの魔(インテリジェンス)です。

ビリヤード台のすべての玉と位置と速度が分かれば、その次の瞬間にどこに移動するかは分かります。その次の瞬間もその次の瞬間もです。その直前にどこにいたのかもすべての玉に対して分かります。
この計算はかなり幾何学的です。入射角と反射角は等しく、あとは直線を引いていくだけです。衝突も速度を考慮にいれればあとは幾何学的です。
この世界観を機械論と言います。連鎖であり、きわめて機械的であり、数学的です。ここでの幾何学がこの系でのアルゴリズムとなります。

すなわち、十分な計算能力があれば、あらゆる瞬間の玉の位置と速度(運動量)が分かります(p=mvなので速度は運動量ではありませんが、玉の質量が同じであるとすれば、こう書いても問題ありません。m=1にすればいいので)。

ということは、我々の全行動もすべて、意志もすべてすでに決まっていたということになります。
自由意志などなく、悩むことも決断することも、失敗することも、成功することもすでに決まっていたということです。ここでこの文章を読むことも、読まないことも、神の一突きの瞬間に決まっていたということです。

これが決定論です。因果関係の鎖が連綿と過去現在未来を貫いて続きます。第一原因がすべての原因であり、ドミノが倒れるように因果の鎖が次々と次のドミノを倒していきます。

これは我々の素朴な世界観にきわめて一致しています。
決定論というのは200年ほどで我々の「常識」になったようです。


*ラプラス。ラプラスの魔は神の別の定義ともみなせます。


しかしこのラプラスの命題は前提条件が「もしもある瞬間における全ての物質の力学的状態と力を知ることができ、かつもしもそれらのデータを解析できるだけの能力の知性が存在するとすれば」です。

これは「かつ」でつながれていますが、後段の「それらのデータを解析できるだけの能力の知性」を神というコンピューターとしておけば、前段のみが問題になります(ちなみに神ではなく、宇宙でもOKです。宇宙は実際に計算をし続けています。宇宙をシュミレーションしようとしたら、宇宙大のコンピューターが必要です。しかしそれは宇宙自身と区別がつきません。ということは宇宙は巨大なコンピューターなのです、、、というのが「宇宙をプログラムする宇宙」のテーマでしたね)。

そして前段が「もしもある瞬間における全ての物質の力学的状態と力を知ることができ」でした。

煩雑なので「全ての」という条件を取り外し、「ある瞬間における物質の力学的状態と力」と考えると、少しシンプルになります。

そしてこれは不可能であることを我々は知っています。

量子力学、特に不確定性原理は位置と運動量を無限の精度で同時に知ることが不可能であるという原理です。これは寺子屋「ハイゼンベルクの不確定性原理」でもやったように、観測の問題ではありません。我々の目が十分に良くないので完璧な精度でできないというわけではありません。
そうではなく、原理的に不可能ということです。
観測による不確定性とは別に量子自体が原理的に持つ不確定性があります(小澤の不等式)。

ということは、神さまはビリヤード台で目を凝らしても「ある瞬間における物質の力学的状態と力」については知ることはできないのです。

それらのデータを解析できるだけの能力の知性」を持つ神なり悪魔なりスーパーコンピューターがあっても、そこに入れるデータが無いのです。もしくは不完全なデータしかありません。

もしもわずかであってもデータが不完全であれば、計算が大幅に狂います(いや、ほとんどの計算は大体のデータであれば、大体の精度に落ち着きます。いまここでのテーマはカオス理論です)。

「風が吹けば桶屋が儲かる」という言い方がありますが、オーストラリアで蝶が羽ばたくと、カルフォルニアで嵐が起こるような因果の鎖のことです。

ラプラスと同じく悪魔で知られるマクスウェルは(2人が悪魔なのではなく、ラプラスの魔とマクスウェルの魔があるからですw)、早くも1877年にこのカオス理論について言及しています。

「同じ原因は常に同じ結果を生み出す」という、よく引用される原則がある。もう一つの原則として、「似た原因は似た結果を生む」というものがある。多くの物理現象はこれを満たすような状態にあるが、小さな初期状態の違いがシステムの最終状態に非常に大きな変化をもたらす場合もある」

続いて「気象現象は局所的な不安定性の限りない集まりに起因するような現象かもしれず、1つの有限な法則体系に全く従わないような現象かもしれない」と書きます。


これは完全にローレンツのバタフライ効果を先取りしています。それも100年近く前に!!

ブラジルの1匹の蝶の羽ばたきはテキサスで竜巻を引き起こすか?」というのがよく知られるバタフライ効果です。

これは1972年にローレンツのアメリカ科学振興協会での講演のタイトルです。
"Predictability: Does the Flap of a Butterfly's Wings in Brazil Set Off a Tornado in Texas?"


余談ながら、演題はもともとは蝶ではなく、カモメだったそうです。それを主催者がインパクトにかけると思ったのか、蝶に変えてしまいます。これはまさにブラック・スワン的です。この些細な変更がローレンツとバタフライエフェクトを非常に有名にしたと思います。
たしかにカモメエフェクトではちょっとインパクトが弱いです。


ローレンツ方程式のパラメータを特定のものにして数値計算をある方向から見ると蝶に見えるという偶然もまたブラック・スワンを後押ししたかと思います。


*ローレンツ・アトラクタ。ローレンツ方程式のパラメータを p = 10、r = 28、b = 8/3 として数値計算した結果をある方向から見ると、蝶が羽を開いたような形をしている


まあ、それはともかくとして、マクスウェルが「小さな初期状態の違いがシステムの最終状態に非常に大きな変化をもたらす場合もある」という予言は正しかったのです。コンピューターの精度の向上がそれを示すのに役立ちました。

ちなみにカオス理論、もしくはバタフライエフェクトというのは決定論の中での現象です。
少し早まって語るならば、現実の世界とは無関係なイデアの世界での出来事です。決定論の中での現象なので、「それらのデータを解析できるだけの能力の知性」にとっては、カオスなことは一つもありません。

ただ我々の計算機は無限の桁数を入力できないので、データが不完全なものとなり、小数点以下の誤差によって(もしくは切り捨てるか否かのレベルの違いによって)、最終結果が全く異なるということです。それはランダムに見え、カオスに見えるのです(ランダムでもカオスでも無いのですが)。

子供の頃に概算というのをやらされたかと思います(個人的には小学校の算数で最も大事なのは概算だと思っています)。概算というのは見当をつけるため大まかな計算をすることです。
「普通に計算すればいいのに」というところで、大まかな計算をするのは嫌なものですが、これは大まかに見当をつけるためには重要であり、あたりをつけるのには良いのです。

(余談ながら、「概算」や「場合分け」、「シンプルな系にして試してみる」などのテクニックというのは、本来は最も重要なテクニックです)

そしてこの概算と実際の正解はそれほどの誤差はありません。

ところが、カオス的なふるまいをする特殊なアルゴリズムがあります(データにもよりますが)。
それがカオス理論です。
概算どころか、数値を少し丸めるだけで計算が大きく変わります。


ですので、「ある瞬間における物質の力学的状態と力」の精度が完璧ではないと、その結果はカオス理論的なふるまいをすることになります。すなわち神様にも未来は予測不可能なのです。

量子論では確率論的に存在するなどと言います。確率論的な靄のような状態が、物質の本来の状態なので、初期値を正確に入れることが原理的に不可能なのです。というか、そのような初期値が存在しないのです。


しかし我々の目には世界はカオス的ではありません。
かなりシンプルなロジックに従っており、物理法則はほぼほぼニュートン力学に従っているかのようです。

なぜでしょう。

ちょっとこのブログ記事の余白が少ないので、結論だけをざっくりと示します。


これは大数の法則が働くからです。独立な試行を繰り返すと、それは綺麗に確率に従った結果が出ます。
たとえばサイコロを何度も振ると、その目はほぼ均等に出てきます。1の目も6の目もほぼ均等な回数出てきます。これが少ない試行回数であれば、かたよる可能性もありますが、十分に大きな回数であれば、確率が示すのと同じくどの目も全体の6分の1になります。




我々の身の回りが正確な因果関係と物理法則に従っているように見えるのは「大数の法則」ゆえです。
量子のサイコロに比べて、我々が十分に大きいので、我々は「大数の法則」の世界しか見えないのです(じゃあ、見なくていいではないかと思うかもしれませんが、そして実際に脳はそう見做していますが、、、それがシステム1)。

この「大数の法則」もパスカルの三角形から記述できます。
ちなみに皆さんが大好きな(笑)、パスカルの三角形というのはかなりすぐれものです。

*パスカルの三角形。上の階層の2つの数字の和を下に書く。

パスカルの三角形はガウス分布を記述し、大数の法則を示します。
もちろん二項定理と関連し、無限回の試行を想定すればフラクタル(シェルピンスキーのギャスケット)にもなります(たとえば偶数奇数で塗り分ければフラクタルです)。

パスカルの三角形のアルゴリズムは単なる足し算です。初期状態を設定し、同じ繰り返しを再帰的にするということで言えばセル・オートマトンです。実際にセル・オートマトンのアルゴリズムにあります(ルール90はシェルピンスキーのギャスケットです)




大きな分類で言えば、ニュートン力学やアインシュタインの相対論のような決定論の世界観があります。これがラプラスの魔に代表されるような因果での決定論の世界です。

そしてそのラプラスの魔を殺したのが量子論であり、不確定性原理です。世界は決定論から確率論に生まれ変わりました。

しかしその確率論だけでは見えてこない世界があります。確率論だけならば、大数の法則に従うので、世界は再び決定論に戻ってきます。

ですがここにブラック・スワンが登場します。
フラクタル、カオス、複雑系を引きずってブラック・スワンが登場します。


寺子屋「ブラック・スワン」はこれまでのアルゴリズムや数学系の「寺子屋」の総集編であり、かつそれを超える視点を示してくれます!!お楽しみに!!!


【寺子屋!! ブラック・スワン ~アルゴリズムの逆襲!!】
【日時】 6月23日(木) 19:00~21:00(21:30まで質疑応答!)*金曜日ではなく今後寺子屋の初回は木曜日です!!
(追加開催決定!!)6月25日(土) 12:00~14:00(14:30まで質疑応答!)
*変則的ですが正午からです!!
【場所】 東京・四ツ谷の「まといのば」のセミナールーム
【受講料】  3万円
【受講資格】 ブログ読者
【持ち物】 筆記用具と熱い情熱
【お申し込み】お申し込みはこちらから。


【寺子屋!! ~シュメールの奇跡~】
【日時】 (追加開催の追加開催決定!!)6月24日(金) 19:00~21:00(21:30まで質疑応答!)
【場所】 東京・四ツ谷の「まといのば」のセミナールーム
【受講料】  3万円
【受講資格】 ブログ読者
【持ち物】 筆記用具と熱い情熱
【お申し込み】お申し込みはこちらから。





【参考書籍】
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ブラック・スワン[下]―不確実性とリスクの本質/ダイヤモンド社

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宇宙をプログラムする宇宙―いかにして「計算する宇宙」は複雑な世界を創ったか?/早川書房

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