【寺子屋参照資料】軽いロマン派の中にあって重量級の後期ロマン派と、心地良い重さの国民楽派! | 気功師から見たバレエとヒーリングのコツ~「まといのば」ブログ

気功師から見たバレエとヒーリングのコツ~「まといのば」ブログ

四ツ谷にありますバレリーナ専門の気功整体「まといのば」のブログです。
気功師から見たバレエとヒーリングのコツを公開します。
「まといのば」では、バレエ・ヒーリング・美容の各種セミナーを行っております。

というわけで、音楽史もいよいよ後編です!!

寺子屋受講生もそうでない方も是非、音楽の世界の楽しさを再認識してください!!


*音楽はおそらく人間に不可欠なものとして、有史以来存在しています。音を楽しみましょう!!


知識を整理するイメージは、頭の中に「アテナイの学堂」を拡げ、そこに様々な作曲家や演奏家が集っている感覚です。彼らがめいめいに勝手にさわいでるイメージです。興味を持てば近づき、遠くから関係を眺め、ネットワークを稠密にしてみてください。楽しみが深まります。


というわけで、前編と中編でグレゴリオ聖歌、バロック、古典派と来て、ロマン派まで来ました。
軽い感じのロマン派も最後は重くなりました。


全体としては、

グレゴリオ聖歌 → バロック → 古典派 → ロマン派 → 国民楽派 → 現代音楽

という流れです。
(日本の音楽はどこに分類されるかと聞かれましたが、この西洋音楽史の中で考えるならば、国民楽派です)

寺子屋参照資料(前編)「偉大なる音楽は、もはや特権階級の人々の楽しみのために奉仕してはならない」2015-06-19

寺子屋参照資料(中編)「ロッシーニ」に乾杯!誰も寝てはならぬアテナイの学堂2015-06-22


ちょっと復習しましょう!

グレゴリオ聖歌は映画「薔薇の名前」の舞台である中世、ルネッサンス。
天使の音楽と言われたパレストリーナは本当に美しいです。

続いて「歪んだ真珠」と言われたバロック。
バロック後期には偉大なバッハ、ヘンデルが出てきました。そして明るいヴィヴァルディ。ヴィヴァルディと言えば四季。

Four Seasonsと言えば、アメリカで10年のロングランのジャージー・ボーイズ(Four Seasonsの伝記をミュージカル化したもの)は面白かったです!(現在公演中です)


*あまりに懐かしい。そしてあまりに赤裸々で切ない作品です。


続いて、The クラッシックな香りがするモーツアルト、ベートーヴェンの古典派。2人の先生は交響曲の父のハイドンでした。

そしてロマン派です!!
続く国民楽派からすると、そして前の古典派から考えても「カル---イ」感じのロマンチックなロマンスのロマン派です。


後期ロマン派は重厚です。ロマン派の軽さからすると、重厚です。
ブルックナー、マーラー、そしてリヒャルト・シュトラウスです。
マーラーのアダージェットが「ヴェニスに死す」に使われ、有名になりました(マーラーはフロイトの診察も死の直前に受けています)。
ベートーヴェンが第九交響曲を書いた年に生れたのがブルックナー。
彼の第九番はまさにブルックナーらしい作品。

リヒャルト・シュトラウスはモーツアルトやワーグナーと並ぶドイツの三大オペラ作曲家と言われますが、やはり交響詩です。

ワーグナーのお友だちであったニーチェの有名な書物にインスピレーションを受けた「ツァラトゥストラはかく語りき」は映画「2001年宇宙の旅」に使われました。

ちなみに2001年と言えば、ヨハン・シュトラウスの「美しき青きドナウ」も強烈です。

「美しき青きドナウ」と言えば、ウィーン・フィルハーモニーの毎年のニューイヤーコンサートですね(バレンボイムの名スピーチと共に!ムーティさん小澤征爾さん

「美しき青きドナウ」は息子のヨハン・シュトラウス2世の作品ですが、お父さんの1世のラデツキー行進曲もニューイヤーコンサートのアンコール曲です!(カラヤン指揮です!というわけで、若いころのカラヤンのリハーサル風景の貴重なドキュメンタリー。映画「セッション」も真っ青な空気感です)

カラヤンのリハーサル風景は貴重なので、もう1つ!弟子である小澤征爾さんの解説です。カラヤンと小澤さんの貴重な対談も)ちなみに演奏しているのはハイドンの「時計」です。ちなみに時計は 交響曲第101番第2楽章です。交響曲101番ってすごすぎます。第九の呪いとか吹っ飛びますね(マーラーはベートベンもブルックナーも第九を創って、世を去ったので9番目の交響曲に第九とつけるのを避けましたw)(ちなみに、このハイドンの時計はバレエファンはおなじみです。キリアンの「シンフォニー in D」です!)(上記のカラヤンのリハーサルの完全版はこちらです。ただドイツ語です

カラヤンと言えば指揮者の代名詞のような存在ですが(「愛と哀しみのボレロ」でも指揮者はカラヤンがモデルです)、たとえばオーケストラの録音を積極的に行なったのもカラヤンですし、オペラの原語上演もカラヤンが嚆矢と言われます。またジェット機を乗り継いで世界中を飛び回って活動するのもカラヤンが初です。日本にもたびたび来日しています(サントリーホールを設計から携わりました)。ちなみに運転はF1ドライバーのニキ・ラウダ直伝だそうで。指揮者という職業を一気に押し上げた人です。かっこ良すぎるカラヤン。


リヒャルト・シュトラウスの「ツァラトゥストラはかく語りき」は交響曲というよりは、ずいぶんと変わりました。交響詩ですね。最近の流行りのGoogleのDeepDreamのように変わりました。
まさにメタモルフォーゼン。その名前のとおりの交響詩もあります。(GoogleのDeep Dreamはコンピュータの見る夢などと言われていますが、Deep learningした結果見えてくる風景の変容です。これは人間の認知、人間の絵画を考える上でも非常に示唆的だと思います。たとえば我々の視覚は少なくとも写真のように世界を認識していません。また脳が怪物を見るカラクリというのも、再現可能です。怪物が錯視に見えるカラクリとして以前紹介したYoutube動画です

ブルックナーは第九(ベートベン)の初演の年に生れ、自身の第9交響曲を書いて世を去りました。
ベートベン、ブルックナーと第九を書いて死んでいるので、マーラーは9番目の交響曲に第9番とつけずに「大地の歌」と日和ります。とは言え、第10番は未完に終わったため、ブルックナー、ベートベンと同じ道を歩みました。


軽いはずのロマン派も、最後は重すぎました。ブルックナー、マーラー、リヒャルト・シュトラウスでした。


【国民楽派】

というわけで、軽いロマン派に対して、重い国民楽派です。
いや、重いと言っても後期ロマン派の重さはありません。
自分の祖国や地域性を背負っている「重さ」なので、ある意味で心地良い重さです。

それまで西洋音楽がなかった地域に西洋音楽の光が届いた感じです。届いたのですが、ソナタ形式などの古典をきちんと学ぶことが地理的条件で不可能なので、自分なりに音楽を創ってしまったのが国民楽派です。

19世紀後半です。

まずはチェコのスメタナの「わが祖国」よりモルタブ!
モルタブというのは川です。ヴルタヴァ川ですね。湧き水が小川になり川となり、海に流れ込むまでを描いています。最高です。


同じくチェコと言えばドボルザーク。
ブラームスに才能を認められたドボルザークは2階が宿屋であった肉屋の息子。庶民からも音楽家が生まれるようになりました(バッハはもとよりモーツアルトもベートベンも音楽エリートの家の生れです)。


*ドボルザークの生家です。1階が肉屋、2階が宿屋だそうで、庶民の家から大音楽家が出るほどに、音楽が民主化しました。

まずはドボルザークと言えばユーモレスク。この曲もそうですが、国民楽派の楽曲は「名前は知らないけど、聞いたことがあるっ!!」というものが多いのではないかと思います!(ヨーヨー・マ最高です。ヨーヨー・マとイツァーク・パールマンのペアはオバマ就任のときにも演奏しました)。ヨーヨー・マと言うとバッハの無伴奏チェロです。
ちなみにヨーヨー・マが弾くと上記のリンクのようですが、これを現代のパガニーニであるディビッド・ギャレットはこう弾きます。


*まずはユーモレスク!!名前はピンと来ないけど「これ知ってる!」と思うことが多いのが、国民楽派の特長かと思います。


ドボルザークはブラームスに薦められてスラブ舞曲を書いています。。(ブラームスはハンガリー舞曲を成功させました)。

ただドボルザークと言えば「新世界より」でしょう。スラブ舞曲がスラブ音楽の影響を受けたように、「新世界より」は新世界アメリカの影響を受けています。
ドボルザークはチェコの田舎の肉屋のせがれから、新世界アメリカで音楽の授業をするまでに出世します。これもまた時代です。かつては考えられなかったことです。

ドボルザークはアメリカに到着していわく「ほとんどロンドンのような巨大な街だ。(中略)私が流暢な英語を話したのでみんな驚いていた」と言ったそうです。

新世界の第4楽章はとても有名です。出だしは鉄道が遠くから近づいてくるシーンを彷彿とさせます。ドボルザークは鉄道マニアであり、ロッシーニが愛する美食に名を残したように、ドボルザークは愛する鉄道に名を残します。葉加瀬太郎さんいわく、この第4楽章が映画ジョーズのテーマにパクられます。



そして国民楽派と言えばロシア!
ロシア音楽の父グリンカ、その弟子であるバラキレフを中心に五人の作曲家が五人組。
たとえばアル中のムソルグスキーの「展覧会の絵」などはラベルがのちにオーケストラにしたことで有名に。

五人組を並べておきます!

ミリイ・バラキレフ(1837年 - 1910年)
ツェーザリ・キュイ(1835年 - 1918年)
モデスト・ムソルグスキー(1839年 - 1881年)
アレクサンドル・ボロディン(1833年 - 1887年)
ニコライ・リムスキー=コルサコフ(1844年 - 1908年) 

リムスキー=コルサコフで言えば「熊ん蜂の飛行」が有名です。

五人組の中には入れなかったけど、ロシア音楽もしくはバレエ音楽として偉大なロシア音楽の父はチャイコフスキーです。チャイコフスキーははるかに洗練されています。

バレエ音楽と言えばチャイコフスキーです。三大バレエをすべて作曲しています。
バレエの代名詞である「白鳥の湖」、グランバレエの「眠れる森の美女」、そして冬の風物詩「くるみ割り人形」です。

白鳥の湖はあえてマシュー・ボーンのSwanLakeを。ナタリー・ポートマンの映画「ブラック・スワン」は衝撃的でした。
「眠り」はスカラ座でワルツを!
そして「くるみ」も花のワルツ

チャイコフスキーがはじめて導入したチェレスタでの楽曲は金平糖の踊り(ロイヤルで吉田都さん)


そして北欧ノルウェーのグリーグ!
ノルウェー?グリーグ?
と思ってもペール・ギュントを聞くと、「知ってる!!!」となります。あまりに有名です。
国民楽派の特長です。作曲家の名前も曲名もよく知らないけど、音楽は良く知っているというのが、国民楽派です。グリーグのノルウェー舞曲もどこかで耳にしたのでは。


そしてフランスです!
まずは我らがラヴェルのボレロです。
ベートベンが「ジャジャジャジャーン」だけで書いたように、一つのリズムそして2つのシンプルなメロディだけで最後までオーケストレーションしたのがボレロです。オシャレな人だったそうで、西洋音楽におけるPrinceのようです(背の低いところも)。

ボレロと言えばベジャール。マイヤ・プリセツカヤがボレロをはじめて踊ったのは50歳のときでした。
ボレロは映画「愛と哀しみのボレロ」で有名になりました!


そのラヴェルの先生がガブリエル・フォーレ。
ドビュッシーの先生でもありました。
オルガニストであり、これまでの音階をやめて、バッハ以前に戻りたいと思い教会旋法に戻ります。
美しい音楽です。
たとえばレクイエム。ちなみに死の床で2人の息子にこう言ったそうです。

「私がこの世を去ったら、私の作品が言わんとすることに耳を傾けてほしい。結局、それがすべてだったのだ……」

まさにそう思います。

絵画や音楽は作品や楽譜が残ります。
しかし、ダンサーは踊りが作品であり、それはその瞬間に生まれて消えていくものです。ビデオはありますが、ビデオとライブは全く違います。

踊りはそのときしか無いものです。ダンサーの命は短いので舞台には足を運びたいものです。
長く踊られた100年に一人の逸材と言われるギエムさんも今年で引退です。


フォーレの弟子の一人であるドビュッシーと言えば「牧神の午後の前奏曲」です。
絵画の印象派と同様に、印象主義音楽と呼ばれたりしました。

牧神の午後と言えばニジンスキーです。ニジンスキーはディアギレフのバレエ・リュス(ロシアバレエ)です(現代バレエはディアギレフのロシアバレエから再興したと言って良いと思います)。

バレエファンにとっては「牧神の午後」でしょうが、一般には「月の光」が好まれるかもしれません。

聞いていると、美しさの中でLunatic(狂気)になりそうです。

この曲はピアノのほうが雰囲気が伝わるような気がします。


*ドビュッシー「月の光」。ワーグナーのトリスタン和音を使っているのは、牧神の午後を聞くとよく分かります(踊りはヌレエフ!!)


ドビュッシーの美しい音楽だけではなく、なかなか終わらない音楽史ブログに狂気に陥りそうですが、それを狂喜に変えるべくガンバリマス。

最終回「現代音楽」編もお楽しみに!!

アタマのスミズミに生息している美しい音楽を綺麗に整理することで、その知識と感覚は「使える」ものになります!!