ある日のこと、僕に小包が届いた。送り元は刑務所…。なんだろうと恐る恐る開けてみると、「死刑囚 秋野修一の遺品 罪状殺人」のメモと共に、手紙と布で包まれた手のひら大の何かが入っていた。

 秋野修一、父さんの名前だ。殺人で死刑囚だって?!

 僕は混乱する頭で、手紙を読んだ。

 

 「大介、これを読んでいる時父さんはもうこの世に居ないだろう。お前にもう一度会うことなく去るのが残念だが、お前が犯罪者の息子であるのを知るのも可哀想に思う。だが、私からの最初で最後の贈り物を、お前にどうしても届けたかったから、監守に頼んだ次第だ。多くは語るまい。お前が気に入ってくれることを願う。」

 

 布に包まれていたのは、黄色いドライバーヘッド。美しい形をしているが、何の刻印もない。どうやら試作品といったところだろうか。僕は無言でドライバーヘッドを胸に抱きしめた。シャフトのない未完成の姿はまるで切り取られた父さんの首のようにも感じられた。

 

 

 

 僕はジョージに手紙と小包を見せた。

 

 「訳がわからないよ」

 ジョージは手紙を読むと優しい眼差しで僕に話し始めた。

 「ダイ、キミの父さんは勇気ある男だったよ。クラブ職人で、私のクラブを見事に調整してくれてね、以来専属のキャディーになってもらった間柄だ。シューイチはプロではなかったが理論派で、私のコーチでもあった。ある日、私の不在時に妻が強盗団に襲われて暴行の挙げ句に殺害されてね、居合わせたシューイチが怒りに我を忘れて犯人たちを惨殺してしまったんだ。あろうことか警察は第一発見者のシューイチを強盗の主犯として逮捕した。盗まれた金品は行方がわからなくなってしまい、シューイチが私の妻と不倫関係にあったなんて証言も出てきたからだ。私はそんなこと信じやしないし、彼の無実を訴えたが、認められなかった。私はせめてもの罪滅ぼしに君を引き取り、育て上げることにしたんだ。ツアープロを辞め、何度もシューイチに面会に行ったが、会うことは叶わなかったよ」

 「そのドライバーヘッドはメロウイエローと呼ばれるドラコン用のドライバーにそっくりだ。おそらくメーカーの試作に手を貸していたのではないかな。彼が大切に保管していたからには、特別な一品なのだろう」

 僕はメロウイエローのプロトタイプを見つめる。父さんが何かを語り掛けてくる気がする。

 「ねえジョージ、僕、このメロウイエローを使ってみたい」

 ジョージは静かに頷いた。

 「丁度良い頃合いだな、ダイのクラブとして最高の仕上げをしようじゃないか。そして私からのプレゼントもあるから楽しみにしなさい」