3月11日は「東日本大震災」の日です。多くの犠牲者が出て,今なお行方不明者の方がたくさんいることに心が痛みます。謹んで哀悼の意を表したいと思います。
そんな日に行う算数の授業なので,このことを題材にして考え,あらためて防災意識を高めていきたいと思いました。
防災についての意識の変化や,日ごろの備えについて調べたデータをいくつか示してから問題を考えてきます。最初の問題は,『防災対策として何をしているか。』を調べたデータを見て,
「何らかの対策をしている人は半分を超えているか,こえていないか。」
を判断させます。
自力解決では2つの反応がありました。「半数を超えている」という判断をした人は,対策をした数の合計を出しています。そうすると「620人」になるので,何もやっていない,の「614人」よりも多くなっているという考え方です。
実はこの実践は2回目です。「前回の実践はこちら」
前回は,この考え方で計算しても,「何もやっていない」をこえなかったので,これで判断してしまう児童がたくさんいたのです。そこで,グラフの数字を変えて,延べ人数がこえるようにしたのです。そうすると半数近くがこの判断になりました。
一方,「何もしていない614人」に着目した児童は,この回答は絶対に「複数回答」にはなりません。だから全体1000人から引いた数が「対策をしている人」になるから,半分より少ない,という判断をしています。
資料の中にある「複数回答」という項目を注意深く見る必要があるわけです。
次に,被災すぐに「自助」として必要になる水について考えます。「一人1日に3Lの水が必要」というデータを使って,家族4人分の備蓄量を2L入りペットボトル何本になるかで考えます。
出てきた数字をそのまま使う「4×3×2」で24本という解答も結構ありました。一人が1日にこのペットボトル1.5本という考えができれば,×1.5で修正できますが,これは難しいでしょう。(4年生の内容でもない)
3L/日×3日=9L/人 9L/人×4人=36L 36L÷2L=18本
というイメージで計算できますが,単位がいろいろややこしいので,結構難しかったようです。
最後は,地図を見て,避難所までの距離を考えます。2つの避難所までの距離は,長方形や平行四辺形の長さの性質を使うと,同じ距離になることが分かります。それらを確認した後,
「これ以外に,いちばん上の直角に曲がるルートもあるんだけど,これはどうなんだろうか。」(赤で示したルート)
とたずね,これを『ノートにしゃべろう』のお題としました。正しい答えである,
「この情報では判断できない。」
と答えられた児童はいませんでしたが,「相殺」されて同じ距離になる,という判断ができている児童はしました。うまく「相殺」できるとは限らないのですが,そのイメージをもって答えられていれば及第点といえるでしょう。このブログの「第1回目の記事」(16年前)と同じことです。