教科書に載っているトピック教材「よみとる算数」を行います。いろいろな資料・データが与えられ,その中から必要な情報を選んで考えていく問題です。いろいろなものが考えられますが,今回は「防災」をテーマにしてみました。
 防災に対する意識として,何か対策を立てている人が半数より多いかどうかを考えます。与えられている資料は,1000人に対するアンケート結果で,複数解答が可能となっている資料です。この中に,
「何もしていない」
という項目があり,その数が600人を超えています。これに着目するとすぐに結果が分かります。過半数である500人を超えた人が「何もしていない」のですから,対策を立てている人は半数より少ないことになります。
 この解答以外に,それぞれの対策項目を足し算している児童がいました。その合計は500強なので,何もしていない600人より少ないことで判断しているのです。しかしこの判断は「複数解答」可能となっているため正確な理由にはなっていません。この日提示したデータの場合たまたま小さくなっていただけです。子どもたちに本当の議論を起こすためには,こちらの合計が700くらいになるように教材を設定するべきだったと反省させられました。
 数字を計算する問題は分かりやすい問題です。「一人1日3L」という条件から,4人家族が3日間過ごすために必要な水の量を考える問題です。いろいろな考え方で求めることができますが,この日は右の方法を紹介する程度で止めておきました。
 最後の問題は,避難場所としてどちらが近いかを考える問題です。この問題は数字の操作をしています。0.5kmの隣の数字を,左斜めの0.45kmと同じにしています。元々は違う数字だったのですが,それだと計算で結果が分かってしまいます。議論を起こすためにあえてこの数字にしました。
 分かっている数字を計算すると,どちらも同じ1.2kmになります。その時に,
「平行四辺形だから」
という図形の性質に着目する呟きも出てきました。問題は,Bの避難所へ行くとき,数字の書かれていない「上のルート」があるのです。この長さを考えていく中で,
「台形だから同じ数字とは限らない。」
という図形の性質も語られていきました。
 時間がなくてそこから先へ進めなかったのですが,この問題はまだ話し合う余地があります。Bから左斜め上に平行な道があったとすると,そのルートは1.2kmになります。それとは違う直角の曲がり角を通ると,
「絶対に0.45kmより長くなる」
ということが分かるのです。
 授業ではそこまで話し合えませんでしたが,提示する資料を操作することでいろいろな話し合い活動が組織できます。そんな「資料作り」を楽しんでみました。

 

 

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