「夏休み最終研修」2本目は,5年生の特設教材「シェルピンスキーのガスケット」です。ほとんどの方が,この存在を知らなかったようなのですが,私は11年前の東京研修でその存在を知り,少し調べていたので知っていました。「その様子はこちら
 また,それだけでなく,「パスカルの三角形」もセットでこの学習を進めようとしていました。数学的にかなり高度な内容となっています。
 三角形がピラミッドのように積み上げられています。16段です,左右の斜めの辺上にある三角形には「1」と書かれています。これをワークシートにして作業をしていきます。「逆三角形」は何もしません。「上向きの三角形」には,右上と左上の三角形に書かれている数字の和を書いていきます。これをずっと続けていくとたくさんの数字が見えてきますが,これが「パスカルの三角形」です。パスカルの三角形には,たくさんの「きまり」があります。「等差数列」「階差数列」がすぐに見えますが,数字同士の「和」などを考えると「フィボナッチ数列」も隠れています。
 次に,たくさんの数字のうち「奇数」を赤鉛筆で塗っていくと,ある模様が見えてきます。それが右のような模様で,これが「シェルピンスキーのガスケット」と呼ばれているものです。小さな形のものが大きくなっていっても同じように(相似)繰り返されるもので「フラクタル」構造になります。(「自己相似形」」ともいいます)
 授業は,たくさんのきまりを見つける発言や,色を塗るための工夫・方法を発表してくれました。また「形の不思議」についても自由な発想で表現され,子どもたちの素晴らしさが際立っていました。
 この日の授業の展開は,いろいろとあるのですが,今回はそれは不問とします。後の研究会で,「パスカルの三角形」の,それ以外の不思議さなども語られ,発展性のある魅力的な教材であることが参会者から述べられていました。私も「パスカルの数字の奇数を塗るとガスケットが現れる」というのは知りませんでした。話は,もっと高学年や中学校などでの学習を想定しているような流れになったので,そうではないことを言いたく,自分の実践を紹介させていただきました。
 パスカルの三角形については,「2桁・3桁×2桁」の計算を学習した後に,「11の累乗」を利用した実践を行いました。「その様子はこちら
 「シェルピンスキーのガスケット」については,「3年3組27人との最後の授業」として実践しました。「その様子はこちら」
 なお,フラクタル構造は,普通の授業や教材の中にも存在しています。「その様子はこちら」l

 私が言いたいのは,数学的に魅力的な教材は,高等数学を含んでいるので,そのままストレートに示したのでは,一部の児童だけのものでとどまってしまいます。食材であれば,高級なものは手を加えないほうがいいのでしょうが,数学の「教材」はそのままでは食べられるものになっていないことが多いように思います。手を加えて「料理」して提供するのが「授業者の役割」だと感じました。紹介した実践はいずれも10年前に3年生で扱ったものになっています。
 改めて面白い教材を示してくださった授業者と,鋭い意見を連発していた子どもたちに感謝したいと思います。ありがとうございました。
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