光と影を描き分ける運命の爆弾 | mathichenの徒然なるままに

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mathichenの酔いどれ日記【Hatena版】
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ココに常駐中

以前読んだ本を取り出して見直すのが、調子いくない!時の横になりながら時間つぶしに最適
本日の場合、‘ベトナムの少女~世界で最も有名な戦争写真が導いた運命’(デニス・チョン著)






【戦場を知る者だけが贖罪と赦し与奪の権を持つ】(2010年6月21日)



『ナパームの少女』として有名なファン・ティ・キム・フックですね
彼女は堪え難い体験の持ち主ながら、考えようによっては、非常に恵まれています
何故かを3つ挙げると



(1)被爆当初の危機的状況を脱して助かった理由の一つに、南ベトナム生まれが挙げられる
恐ろしいほど気候に恵まれ食材豊富な地域に育ち、栄養状態良好、火傷を負った時に健康体だった



(2)同じ病院に運ばれた下半身を失った十代の少年が、躊躇せず「退院したら、自殺する」に対して
手足も損なわれず、傷を服で隠すことが出来、顔もきれいなままと、キムは幸運な患者の一人だった



(3)ナパームの炎の中から生きて出て来られた理由
「戦争の恐怖の生きた象徴になるためだった」
一本のフィルムと、一枚の写真がキムを歴史の一齣に封じ込めた
あの歴史の一齣にはキムしかいない
戦争の犠牲者は確かにキム一人ではないけれど、他の人は証拠を持たない
キムにはフィルムがあり、写真があり、そして火傷を負った身体がある




太字部分はキム自身の悟りといいます



戦争の犠牲を含むあらゆる悲劇や不幸において、世界中に認知される者はごく一握りであるにしても
真摯な訴えを受け入れられなかったり軽くあしらわれたり、誰にも信用されないまま、独り消えゆく
大勢の無辜な声や魂の存在を思えば、後世まで語り継がれるキムは確かに幸運でしょうね