1. 動作モードのセッティング(EMI・高周波ノイズ対策)
HT8697
- 電波干渉や高周波ノイズが酷い場合:周辺の無線通信(BluetoothやWi-Fi、AM/FMラジオ)にチリチリとしたノイズが乗る場合は、ICのMODEピンを制御してAB級モードに切り替えてください。効率は落ちますが、D級特有のスイッチングノイズ(高周波スパイク)が完全に消失します。
- D級モードで使いたい場合:スピーカーへの配線が長いと、ケーブルがアンテナとなってEMIノイズを撒き散らします。スピーカー出力端(OUT+ / OUT-)の直後に、フェライトビーズや小さなLCフィルター(インダクタとコンデンサ)を挿入して、高周波成分を遮断してください。
2. 電源周りのセッティング(ハム・ポップノイズ対策)
電源の電圧変動や回り込みは「ブーン」というハムノイズや、起動時の「ボコッ」というポップノイズの原因になります。
- パスコンの最短配置:ICの電源ピン(VDD)とグランドピン(GND)のすぐ近く(数ミリ以内)に、
0.1μFのセラミックコンデンサ(高周波用)と、470μF〜1000μF程度の電解コンデンサ(低周波バルク用)を並列で配置してください。 - ACF(防削頂失真)機能の活用:電源電圧がドロップしたときに音が割れたりノイズが乗ったりするのを防ぐため、ACF機能(Anti-Clipping Function)を有効(ON)にセッティングします。これにより、入力過大や電圧低下時の歪みノイズをICが自動で抑制します。
3. 入力信号の配線セッティング(同相ノイズ対策)
は「差動入力(バランス入力)」に対応しています。この強みを活かす配線が最重要です。
- 完全な差動で受ける:前段の音源(DACやBluetoothモジュールなど)が差動出力を持っている場合は、必ず
IN+とIN-の両方に等しいインピーダンスで配線してください。外来ノイズが相殺(CMRR:同相信号除去)されて無音時のホワイトノイズが激減します。 - シングルエンド(片側GND)で受ける場合:
音源が通常のステレオミニジャックなどの場合は、片方の入力(例:IN-)を入力キャパシタ(コンデンサ)経由で信号源のグランド(GND)に落とします。このとき、アンプ基板上のGNDではなく、必ず「音源側のGNDピン」から線を引っ張ってきて落とす(一点アースの意識)ことで、グラウンドループによるノイズを防げます。 - ツイストペア線の使用:
入力の信号線(IN+とIN-)は、バラバラにせず2本をきつく拠り合わせた(ツイストした)線を使用してください。これにより、外部から飛び込む電磁ノイズを均等に受けさせ、差動アンプのノイズキャンセル機能を最大限に発揮させることができます。