【コラム】弁護士の懲戒請求とは? | 数学を通して優しさや愛を伝える松岡学のブログ

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アドラー心理学的な世界観のコラムやエッセイを書いています

こんにちは。

 

落語家・快楽亭ブラック師匠の裁判を追いかけていた私ですが、

 

ブラック師匠の裁判の軌跡を本として世に残したいと思い、

最近、原稿を整理しています。

 

それで、

 

出版するからには、

しっかり調べなければと思い、、

 

裁判制度や弁護士制度について、

詳細に調べました。

 

 

すると不思議なもので、

 

それまでは裁判関係のニュースを見ても

あまりピンとこないこともあったのですが、

 

最近は、理解できるようになってきました。

 

それで今回は、

 

弁護士の懲戒請求

 

をテーマに記事を書きたいと思います。

 

 

< ブラック師匠の愛と笑いの裁判のコラムはこちら >

 

 

 

一般的に、

 

弁護士は法を司る職業。

 

法にのっとって、

品格ある行動をしています。

 

 

不当な行動をする弁護士がいないことを願いたい。

 

 

しかし残念ながら、

不当な行動をする弁護士もいないわけではありません。

 

そんなときのために、

 

弁護士の懲戒制度があります。

 

 

日本弁護士連合会(以下、日弁連と書く)によると、

 

・弁護士法や所属弁護士会、日弁連の会則の違反

・所属弁護士会の秩序、信用を害する行為

・その他職務の内外を問わず「品位を失うべき非行」

 

などがあったときに、

弁護士は懲戒を受けます。

 

懲戒の種類は以下の通りです。

 

1.戒告

2.2年以内の業務停止

3.退会命令

4.除名

 

 

このように、「除名」も含む重いものとなっており、

 

懲戒請求は決して濫用されるべきではありません。

 

 

たとえば、

 

争っている相手の弁護士に対して、

感情的になって懲戒請求を行うべきではありません。

 

相手の弁護士が明らかに不当な行為を行っているかどうか、

法的、客観的、理性的に判断しなければなりません。

 

 

ブラック師匠の裁判を見ていて、

私も思うところはありました。

 

一緒に訴えられた榎園映画監督が、

相手の弁護士事務所に呼び出しを受けました。

 

そこで、

 

榎園映画監督は、

一体、いくらなら払えるんだ

と払える金額を聞かれたといいます。

 

メインのブラック師匠を呼び出さずに、

お手伝いをしただけの榎園映画監督を呼び出して、

払える金額を迫るというのは、

感情的には納得できないかもしれません。

 

 

ただし、

合理的に考えれば、

 

ブラック師匠は貧乏生活でお金がなかった。

 

一方、

 

榎園映画監督には、その時点で、

300万円の貯金があった。

 

その事実を訴えたほう(原告)は知っていた。

 

お金のないブラック師匠を呼び出して、

金銭の話しをしても意味はない。

 

そのような合理的な判断が働いたのかもしれません。

 

このように、相手の立場に立って、

合理的に判断する必要があります。

 

 

懲戒請求は乱用すべきではありません。

感情に流されてはいけません。

 

それくらい重いもの。

 

 

判断の基準となる弁護士職務基本規定は、

日弁連のサイトのこちらにあります。

 

 

 

 

一方、

 

私たち一般の人々には、

懲戒請求をする権利があります。

 

それも事実。

 

もし、不当な弁護士が現れたとき、

一般の人には、懲戒請求をするしかないからです。

 

 

懲戒請求は、

 

相手の弁護士とやりあった人だけでなく、

誰でも行うことができます。

 

 

それでは、

 

実際に、どれくらいの件数があるのでしょうか。

 

 

年間の懲戒請求の新受件数は、

 

「弁護士山中理司のブログ」のデータによると、

 

令和2年 (2020年) で 2254件

 

25年前と比べると、

 

平成7年 (1995年) で 576件

 

(弁護士山中理司のブログから引用)

 

 

データを見ると分かるように、

25年前より大幅に増えています。

 

4倍近くになっているのです。

 

 

これは、

 

近年、日本の弁護士の数が増加したことと関係しています。

 

現在は、

よくもわるくも裁判が身近な存在になっています。

 

ただ、

 

これらがすべて懲戒処分に結び付くわけではありません。

 

同じく、

 

「弁護士山中理司のブログ」から引用させていただくと、

 

懲戒処分率は、

 

平成29年 : 50.2%

成30年 : 51.2%

令和元年 : 45.7% 

令和2年 : 75.4%

 

となっているので、

ざっくり 50%前後ということでしょうか。

 

 

 

 

弁護士の懲戒請求ですが、

いきなり日弁連に懲戒の請求をすることはできません。

 

最初に、

 

その弁護士等の所属弁護士会に請求することになります。

 

たとえば、

 

大阪弁護士会に所属している弁護士なら大阪弁護士会

滋賀弁護士会に所属している弁護士なら滋賀弁護士会

 

というように、

 

一般的に、都道府県ごとに所属弁護士会があります。

 

それで、

 

たとえば最初に、

 

大阪弁護士会に懲戒の請求をしたとして、

そこで不服があった場合に、日弁連に懲戒請求することができます。

 

 

懲戒請求について、

詳しくは、日弁連のサイトをご覧ください。

 

 

 

 

ここまで、

 

弁護士の懲戒請求の仕組みや法的なことを書いてきました。

 

 

最後に、

 

心理学的な姿勢から、

私の意見を書きます。

 

 

それは、

 

やはり感情的になって濫用すべきでないということ。

 

理性的な視点が必要。

 

アドラー心理学では、物事を行う姿勢を

 

競合的か? または、 協力的か?

 

という姿勢で考えます。

 

 

裁判は争いだから、競合的ではないのか?

 

と思われるかもしれません。

 

制度的には「争い」ですが、

 

裁判に臨む心の姿勢として、

「協力的」な姿勢もあります。

 

 

今の場合で言うと、

 

たとえば、

 

相手の弁護士から

明らかに不当な扱いを受けたとします。

 

そんなとき、、

 

自分さえ被害を受けたことを我慢すれば、

波風が立たずにすむ

 

と考えるのは、

 

協力的な姿勢ではありません。

 

アドラー心理学的には、

これは競合的な姿勢です。

 

なぜなら、

 

相手の弁護士は、

不当な行為をしたことに気づいてない可能性もあります。

 

 

それを見逃すことは、

道徳的にはよくないことですよね。

 

だから、

 

「懲戒請求」という権利を行使することが、

この場合は協力的な姿勢なのです。

 

ただし、

 

不当な行為をしたことに気づくか、気づかないか、

反省するか、反省しないか、

 

それは、相手の弁護士の問題であって、

懲戒請求をした人の問題ではありません。

 

それをアドラー心理学では、

課題の分離といいます。

 

(相手の悩みまで背負いこむことはないという意味です)

 

 

すなわち、まとめると、

 

明らかに相手が不当な行為をした場合は、

それに気づいていただくほうが、

相手のためになるということです。

 

 

相手の長い弁護士人生のことを思うと、

正しいことを伝えることも必要だと思います。

 

というわけで、

最後に心理学な観点からの心得を書かせていただきました。

 

 

 

そういえば、

 

3年前の節分の日、

 

京都の角田龍平弁護士が

東京・赤坂のトークイベントに出演されていました。

 

そのとき、

 

出演者が願い事を言って、

鬼の格好をした人に豆を投げるという場面がありました。

 

出演者は1人ずつ願い事を言いながら、

鬼に豆を投げていきます。

 

やがて、角田弁護士の順番がやってきました。

 

角田弁護士は、

 

「この世から弁護士がいなくなっても、やっていけるような世の中になりますように」

 

という大きな願いを口に出して、

豆を投げていました。

 

「本当にその通りだなぁ」

 

と、私はしみじみとした気持ちになりました。

 

そんな平和な世の中の実現を願って、

このコラムを結びたいと思います。