野田俊作氏による
『アドラー心理学を語る1 性格は変えられる』
『アドラー心理学を語る2 グループと瞑想』
は、もとは同じ一冊の本だったものを
二冊に分けて、出版しなおしたものです。
ですから、二冊同時に読むことをお勧めします。
それで、
ややこしいのですが、
『アドラー心理学を語る3 劣等感と人間関係』
『アドラー心理学を語る4 勇気づけの方法』
を先に読むことをお勧めします。
実は、
出版の順番と、難易度の順番は逆になっています。
出版されたのは 「1,2」 が先で、「3,4」 が後なのですが、
読む順番は、「3,4」 が先で、「1,2」 が後のほうが、ちょうどいいのです。
アドラー心理学を語る 3 と 4 は、
初めて学ぶ人にも分かりやすく書かれていて、
特に、4 の 「勇気づけの方法」 などは、
日常生活にも生かしやすい内容となっています。
1 と 2 は、
ある程度アドラー心理学を学んだ人にとっては、
味わい深い内容になっています。
1の 「性格は変えられる」 では、タイトル通り、
最初に性格が変えられるかどうかが書かれています。
アドラー心理学では、
「性格」 や 「生き方」 「行動パターン」 など のことを総称して、
ライフスタイルといいます。
本章では、あまりライフスタイルという専門的な言葉を使わずに、
性格が変えられるかどうかが論じられています。
後半では、共同体感覚について、丁寧に説明されています。
2の 「グループと瞑想」 では、タイトル通り、
グループでのセラピー
アドラー心理学と瞑想
について書かれています。
「アドラー心理学」 と 「瞑想」 は、別のものですが、
本書では、野田俊作氏ならではの観点から、
瞑想を用いて、アドラー心理学の実践を説明しています。
瞑想というとスピリチュアルな雰囲気があるかもしれませんが、
本書では理論的に考察されています。
きちっと、理論的にまとめられているため、
読んでいて納得させられます。
私自身は、2の 「グループと瞑想」 が1番好きです。
グループセラピーや共同体感覚、瞑想
などを理論的に説明していて、
読めば読むほど味わい深い内容となっています。
具体的なカウンセリングの事例なども交えて書かれていますので、
読んでいて分かりやすいと思います。
また、どちらも野田俊作氏と編集者による対話形式で
書かれているため、読みやすくなっています。
野田俊作氏は、アメリカでアドラー心理学を学び、
日本にアドラー心理学を導入した先駆者です。
テキストや論文の執筆、治療者の養成など、
精力的に活動をされておられますが、
一般の方に向けた本はあまり書かれていません。
それは、
アドラー心理学は 「お稽古ごと」 であって、
本からは学べず、体験的にしか学べない
という野田氏の信念があるからです。
そのような意味で、本書はとても貴重な本だといえます。
ぜひ、
『アドラー心理学を語る3 劣等感と人間関係』
『アドラー心理学を語る4 勇気づけの方法』
『アドラー心理学を語る1 性格は変えられる』
『アドラー心理学を語る2 グループと瞑想』
の順番で読んでいただいて、
野田俊作氏によるアドラー心理学の世界を
味わっていただけたらと思います。
■ アドラー心理学のコラムやエッセイの一覧