あるボクサーの話 | またしちのブログ

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幕末史などつれづれに…

昔の仕事仲間に元プロボクサーがいました。

 

 

東京都内にあったKジムに通っていたそうで、のちに世界チャンピオンになったS選手とは練習仲間だったそうです。しかもスパークリングではS選手にほとんど負けたことがなかったそうで、トレーナーからも「お前を絶対チャンピオンにしてやる」と言われていたのだとか。

 

 

Kジムには一つ決まりごとがあったそうで、それはデビュー戦をクリアしたらリングネームを名乗ること。そしてリングネームは必ず「カタカナ+名字」と決まっていて、リングネームを決めるのは、いわゆるタニマチ(後援者)の人だったそうです。

 

 

で、本人は富山県の出身なので、富山といえばチューリップということで、チューリップをもじって「チューリー◯◯」にしようと言われ、さすがにそれだけはイヤだと断固拒否したのだとか。

 

 

そして、いよいよデビュー戦。期待の新人として満を持して試合にのぞんだ彼でしたが、いざリングに上がると、急にどうしようもない恐怖感に襲われたそうです。そして、試合の中身はといえば本人いわく「ただ逃げ回ってただけ」だったそうで、どうにもならないまま結果は判定負け。

 

 

このデビュー戦ですっかり自信をなくしてしまった彼は、結局そのまま引退してしまったそうです。

 

 

とても気さくでいいヤツだったけど、今何をやっているんだろう。なんでそう思ったのかわからないけど、「またしちさん、たぶんあの頃のS選手より強いと思います」と言ってくれたことが、今でも秘かに僕の誇りです。

 

 

このことを書こうと思い立って、ちょっと検索してみたのですが、Kジム、もうなくなってしまったらしいですね・・・。