柿渋の知恵と伝統 | 住まいのすゝめ

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柿渋は、日本の自然が育んだ素材であり、地元の渋柿を使ってつくられるエコ塗料です。柿にはタンニンという成分が含まれており、これが柿渋の色や光沢、防水性を生み出します。柿は日本人にとって馴染み深い果物で、秋の味覚として楽しまれてきました。甘い柿は日本が発祥の地で、海外でも「KAKI」という名前で親しまれています。

しかし、柿渋の原料となるのは、甘い柿ではなく、渋い柿です。渋い柿は食べると口の中がひりひりしますが、その分タンニンが豊富に含まれています。日本各地には、渋柿の品種がたくさんあります。京都の天王柿、つるの子柿、奈良の法連坊柿、広島の祇園柿など、地域の特色を反映した渋柿が育っています。これらの渋柿は、地元の人々によって柿渋に加工され、地産地消の塗料として活用されています。柿渋は、昔から蛇に噛まれたときややけどをしたときの民間薬としても使われてきました。柿渋には、傷の治癒を促す効果があると言われています。

柿渋をつくるには、まず柿の絞り汁をろ過して不純物を取り除きます。次に、絞り汁を加熱して殺菌し、自然発酵させます。この発酵の過程で、タンニンが安定化し、柿渋の品質が高まります。発酵させた柿渋を1~2年間寝かせると、さらに色や艶が増します。4~5年寝かせた柿渋は「古渋」と呼ばれ、貴重な塗料として扱われます。柿渋は、漆の代わりにもなることから、「柿漆」とも呼ばれていました。平安時代の史料には、柿渋を漆器の下地に使ったという記述があります。柿渋は、木の素材を引き立てる美しい色合いを持っています。柿渋にベンガラや松煙を混ぜると、赤や黒の色を出すことができます。柿渋は、民家の柱や梁、鴨居、建具などにも塗られ、古き良き日本の風情を感じさせます。

柿渋は、木材にしっかりと浸透し、何度も塗ることで皮膜を形成します。この皮膜は、水や汚れに強く、木材を守ります。柿渋は、番傘や水桶、漁網などの水に濡れるものにも塗られ、長持ちさせる効果がありました。柿渋は、DIYプロジェクトにもおすすめの塗料です。ただし、柿渋には銀杏のような独特のにおいがあります。このにおいは、柿渋が乾くと消えるので、気にならないようにしましょう。

柿渋は、日本の伝統と知恵が詰まった素材です。柿渋は、自然にやさしく、人にもやさしい塗料です。柿渋は、持続可能なエコロジカルな選択肢として、今もなお注目を集めています。

 

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