自然素材は、私たちの健康にどのように影響するのでしょうか。自然素材は、ただ美しいだけではありません。私たちの心と体にもさまざまな恩恵をもたらしてくれます。しかし、それは自然素材を使うだけではなく、断熱と気密という二つの条件を満たした住宅であることが大切です。断熱と気密は、住む人の健康を守るために必要不可欠なものです。それは、自然素材を使うことよりも優先されるべきことです。では、断熱と気密が整った住宅に自然素材を使うことは、健康にとって意味のないことなのでしょうか。もちろんそんなことはありません。自然素材は、私たちの健康にとっても有益なものです。自然素材には、木材・和紙・塗り壁・石などいろいろありますが、ここではなんといっても主役の木材についてお話ししましょう。
木材は、香り成分が私たちの健康に直接的に作用することがわかっています。ヒバやヒノキに含まれる芳香物質のヒノキチオールは、抗菌作用があることで有名ですが、それだけではありません。ＭＲＳＡ感染症や腸管出血性大腸菌Ｏ１５７をも殺菌するヨシキソールや、ガンの抑制作用のあるタキソールなど、新たな健康に良い成分が木材から発見されています。これからも、木材と健康との関係は深まっていくでしょう。しかし、断熱と気密の効果に比べれば、木材の直接的な効果はまだ少ないと言わざるを得ません。「木材は湿気を調整する」と言っても、エアコンや除湿機の調湿には敵いません。「木材は温かみがある」と言っても、断熱と気密と適切な暖房計画があれば、それだけで十分です。それでも、木材には価値があります。木材の価値は、私たちのストレスを軽減することにあります。
最近は木造の校舎が少しずつ増えていると、日本木材総合情報センターが報告しています。木の机やいすも学校に復活しています。木の机は、肌触りがよく温かみがあります。勉強する子どもたちの気分を和らげてくれます。柱から漂う木の香りは、気持ちを落ち着かせてくれます。木目の美しさは、目を優しく包んでくれます。木の遮音・吸音の働きは、耳障りな音を減らしてくれます。木の床は、肌に優しく快適な歩き心地を提供してくれます。衝撃を和らげてくれます。木材の吸放湿の働きは、室内の湿度を調節してくれます。快適な空間を作り出してくれます。
木材の効果は、特定の疾病に対する直接的な医学的な要因ではなく、感性的で間接的な要因の組み合わせになっています。自然素材を多用した住空間での満足感が、ストレスを軽減し、ストレスが大きな要因となる痛み（肩こり・腰痛）を和らげるのです。医学的に言えば、このようなプロセスで間接的に説明できます。木材は、私たちの心と体にやさしい素材です。木材に囲まれた住宅は、私たちに幸せをもたらしてくれるのです。
関連サイト：日本木材総合情報センター／林野庁