感覚の種 | 住まいのすゝめ

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私たちは、自分の住まいに対して、動物としての本能で快適さを求めます。犬が山で楽しく遊ぶのは、そこが自分にとって最高の場所だからです。では、人間が心地よく暮らせる場所とはどんなものでしょうか。それは、住宅建築の基本となるテーマです。

住宅建築は、屋根と壁をつくるだけではありません。人間の心理に配慮する工夫も必要です。例えば、暗いところから明るいところを見ると美しい景色に感動することがあります。これはサバンナ効果と呼ばれる現象です。木立の日陰で休んでいるときに、広々とした草原を見ると、安心感や開放感を覚えるのです。これは、私たちの祖先がサバンナで暮らしていたときの経験が、遺伝子に刻まれているからだと言われています。

また、囲まれ感のある場所から、外の様子を見るときにも、心地よさを感じることがあります。このように、私たちの心には、自然とのつながりを大切にする欲求があります。その欲求を満たすためには、建築において、五感に訴える素材を使うことが有効です。特に、触覚と視覚は、人間の感情に大きな影響を与えます。

しかし、現代社会では、自然の素材を多用している住まいは珍しくなりました。壁は真っ白なビニールクロスで覆われ、床は木目調のプリントが施されたものが敷かれています。このような住宅は、私たちの五感を鈍らせてしまう恐れがあります。自然の素材は、汚れやすいというデメリットもありますが、それは自然との関係を大切にするという意味でもあります。大人の感覚が鈍っていると、子供にも自然との関わり方を教えられないかもしれません。これが何代も続けば、人間は感覚の種を失ってしまうかもしれません。

住宅に関しては、自然を無視した安易な建築は避けるべきです。エコやロハスという言葉に惑わされるのではなく、本当に人間らしい暮らしを目指すべきです。イタリアのルネサンス運動のように、人間の本質に立ち返ることが必要です。そのためには、日本人としての感性を磨くことが大切です。四季の移ろいを感じる国で育った私たちは、自然との調和を知ることができます。

 

動画:トンボハウス【YouTube】