住まいの大事な要素 | 住まいのすゝめ

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住まい選びを始めると、住宅メーカーのサイトを見たり、住宅展示場に行って営業マンの話を聞いたりすると思います。しかし、どんな住まいが良いのか、どこで建てれば良いのか、話を聞けば聞くほど分からなくなってしまうかもしれません。実は、良い住まいを選ぶためには、大事な要素がいくつかあります。この要素をチェックすると、候補に挙がっている住宅会社のほとんどが除外されます。残った本当に良い住宅会社からは、自分の感性や相性、価格などを考えながら決めることができます。それでは、参考になる要素と弊社(トンボハウス)の基本形態を紹介します。

 

 

表をご覧ください。住まい選びに関する要素は、最低限必要なものと推奨されるものに分けられます。最低限必要な要素は、安全性を確保し、光熱費を抑え、快適な室温環境を作るために欠かせません。この要素を満たせない住宅会社は論外です。推奨される要素は、経済的で健康的な住まいの設計につながります。できれば積極的に取り入れたい要素です。それでは、順番に詳しく見ていきましょう。

耐震等級
耐震等級1=国の最低基準同等
耐震等級2=国の基準の1.25倍の強度
耐震等級3=国の基準の1.50倍の強度

まず最初に確認したいのは、「耐震等級3ですか?」という質問です。大手メーカーではほとんど問題ありませんが、中小メーカーでは8割以上が耐震等級3ではありません。南海トラフでM8〜9クラスの地震が発生する確率は、「50年以内に90%以上」「30年以内に70〜80%」です。この地震に無事に耐えるためには、耐震等級3が必須だということは、構造の専門家の間では常識です。

鉄骨だから強いと思っている方も多いかもしれませんが、鉄骨でも耐震等級1(国の基準と同等)もあれば木造でも耐震等級3もあります。当然ながら構造種別に関係なく、耐震等級3の方が圧倒的に強いです。各社は「〇〇工法だから強い」というカタログや営業トークでアピールしますが、それに惑わされる必要はありません。とにかく耐震等級3以上であれば構造は合格と考えておけば、不必要に頭を悩ませることはありません。

 

 

実際に、シミュレーション(動画)で見てみましょう。建築基準法の強度=1とし、耐震等級3=1.5とした場合に、0.5(激弱)~2(超高耐震)までの強度で作られた16棟(同じ間取り)の住宅を阪神大震災の地震波で揺らします。この動画を見れば一目瞭然ですが、この地震波に耐えて残ったのは、最後列の4棟と後ろから2列目の右側2棟、すなわち耐震等級3(1.5以上)の住宅だけです。

UA値
断熱性能の指標として、住宅メーカーが共通で表示できるのがUA値です。計算で求める値で、良い断熱材を分厚く使えば使うほどこの値は小さくなります。衣服に例えると、どんな材料(綿かダウンかなど)で厚さが何ミリかという両方で決まる暖かさを示す指標です。住宅業界では「〇〇工法だから暖かい」「〇〇断熱だから高断熱」という話があふれていますが、それらは無視してもほとんど問題ありません。断熱性能に関しては、このUA値を確認すれば、断熱に力を入れている住宅会社かどうか判断できます。「〇〇断熱」という言葉に騙されず、UA値を即答できないような会社は論外です。

C値
衣服に例えると、袖口やファスナーはもちろん、衣服自体の破れも含めて隙間がどの程度空いているかを表します。いくら断熱性が良くても隙間だらけだと、暖かくなりません。これは計算ではなく、測定器を現地に設置して内部の空気をどんどん抜いていって測定します。これを「気密測定」と言います。まともな住宅会社かどうかを見分ける2番目の質問として「気密測定を実施していますか?」と聞いてみる必要があります。一般的には1割程度しか実施されていません。その関門をクリアできたら「C値はいくら以下を目安にしていますか?」と聞いてみてください。最低でも1以下にしておかないと空気が想定通りに流れず、計画換気ができなくなります(臭気が残る部屋ができてしまう)。もちろん冷暖房の効率も悪化します。

室温20℃湿度50%時に窓下枠に結露が無い
冬は加湿しないと寝ているときに喉が渇いたりします。また、加湿しないとインフルエンザなどのウイルスに感染した人がいると、家族にも感染しやすくなります。このように健康面から考えると、室温20℃のときには湿度50%程度が望ましいです。これは1日10リットルの加湿をすると、ちょうど良いくらいの湿度になります。これだけ加湿をすると、人間にとっては非常に健康で快適なのですが、窓にとっては厳しい状況になります。ほとんどの住宅で使われている外枠がアルミで内枠が樹脂のサッシでは、下枠に結露ができてしまいます。結露を防ぐためには、最低でも枠がすべて樹脂でできている樹脂サッシか、非常に高価ですが木製サッシのどちらかが必要です。結露の観点を抜きにしても、窓は最大の熱損失箇所です。窓を高断熱化していない住宅会社は、断熱に興味も技術力もない会社だと言えます。

夏の時期、直射日光を遮る工夫ができているか
日射のエネルギーは非常に強いです。冬は助かりますが、夏は邪魔者になります。夏の直射日光を遮れなければ、冬は暖かいけれど夏は暑くてたまらない住まいになってしまいます。これは比較的単純に法則化できます。南面(真南から20度以内の角度)では、「窓の高さ10に対して3程度以上」の庇がついているか、あるいは外付けの日射遮蔽措置(アウターシェード)がついているかどうかです(外付けというのがポイントです。日射は外で8割カットできますが、どんな遮光カーテンでも内部では4割しかカットできません)。東西北面の窓はできるだけ小さく(できれば一部屋一か所0.5㎡以内)かつ遮熱Low-Eガラスにしていますか。もしこの2条件が満たせない場合は、外付けの日射遮蔽措置が必要です。ここで注意してほしい嘘の営業トークがあります。東西北面の窓がかなり大きい、もしくは南面に庇やアウターシェードがない状態で「遮熱Low-Eガラスを使っているから大丈夫です!」というのは誤りです。遮熱Low-Eガラスを使っても面積が大きければ大量の日射が入ってきます。日射遮蔽ができていないと入ってきた熱量を除去する分だけ冷房を余分に動かす必要があります。これは窓からストーブと同じ熱量が出て暑くなるので、その分冷房を強くかけているという、快適性・健康面・冷房費のすべてにおいて最悪の状況です。

鉄骨・鉄筋コンクリート造の場合、外断熱かどうか
戸建住宅の場合、構造は木造が一番多く、次に鉄骨造が多いです。マンションのような集合住宅では鉄筋コンクリート造が多いですが、超高級住宅を除けば戸建てで鉄筋コンクリート造はほとんど見られません。鉄は木の480倍熱を通しやすい材料ですので、元々断熱面では非常に不利な構造です。大手住宅メーカーの中には鉄骨から始まったメーカーがたくさんあります。そういったメーカーはここ10年ほどで徐々に木造比率を増やしてきました。それは省エネ基準や業界内の断熱水準が向上した中で、鉄骨造で勝負するのは厳しい現実に直面したからです。このような熱的には非常に不利な鉄骨造をどうしても採用するのであれば、外断熱によって最低でも5cm以上の断熱材でくるむ必要があります。某大手住宅メーカーでは言葉尻だけでこの問題を解消するために2cmに満たない外断熱とすることで対策済みのような営業をしていますが、その程度では480倍もの熱損失を補えませんのでご注意ください。

家全体が冷暖房計画されているか
車を買うときに、エアコンは別途カー用品店で注文してくださいと言われることはありませんよね。しかし、住宅業界では、エアコンは家電量販店で自分で選んで取り付けてくださいと言われることがほとんどです。断熱や気密がしっかりしていても、冷暖房の計画が適切でなければ、家全体を均一に暖めたり冷やしたりすることはできません。また、エアコンの設置を外部に任せてしまうと、断熱設計した人が選んだ容量よりも大きな容量のエアコンが選ばれることが多いです。一般的な考え方は、6畳の部屋には6畳用のエアコンをつけるというものですが、これは現代の新築住宅では高断熱住宅でなくても必要以上に大きな容量になってしまいます。このことを家電量販店の営業マンや住宅業者も知らないことがほとんどです。6畳用のエアコンは、最大で4000Wもの熱量を発生します。これは、こたつ7台分に相当します。しかし、高断熱住宅では、最も寒い時でも600W(こたつ1台分)あれば十分に暖房できます。

冬の時期、日差しを採り入れる工夫がされているか
住宅の暖かさは、気密や断熱だけで決まると思っている人が多いでしょう。確かに気密や断熱は熱を逃がさないために重要です。しかし、暖かい住宅とは、暖房に必要な熱量(暖房負荷)が少ない住宅のことです。暖房に必要な熱量は、熱の損失から日差しや人や家電から発生する熱(内部発熱)を引いた値です。つまり、暖かい家にするためには熱の損失だけでなく、熱の取得も大切な要素なのです。例えば、幅165cm、高さ2mの窓一つに直射日光が当たると、こたつ1台分の熱量(600W)が入ってきます。内部発熱は人や家電によって決まるので住宅業者には制御できません。だから暖かい住宅を作るためには断熱や気密で熱の損失を減らすことも大事ですが、それ以上に日差しを取り入れることが重要だということです。日差しを取り入れることは工事費が上がらないので、できるだけ多く取り入れたほうが得です。

プラン(間取り)の作成は二級建築士以上か
建築基準法では100㎡以上の木造建築物は一級建築士か二級建築士か木造建築士でなければ設計や監理をしてはいけないと定められています。ほとんどの住宅は100㎡(30.25坪)を超えるので、狭小住宅以外は無資格者が設計してはいけないということになります。しかし、住宅業界では大手住宅メーカーも含めてこの法律が守られていません。平面図や立面図を作成する業務を文学部卒の営業マンがやっている会社もあります。中には上手な人も稀にいますが、ほとんどの場合はそうではありません。医者や弁護士のように、経験が長くても無資格者が手術したり法廷に立ったりすることはできません。同じように、住宅の設計も資格を持った人に任せるべきです。

耐久性に関して配慮がされているか
大手住宅メーカーは耐久性に関しては問題ありません。逆に中小の業者は、耐久性が低い会社が多いです。耐久性を確認するためには、様々な項目をチェックする必要がありますが、それを一般の人がやるのは難しいです。そこで、簡単な見分け方を教えます。軒(屋根の先端を伸ばして外壁を雨から守り、日差しを遮る)がない住宅(シンプルモダン系の住宅に多い)は、雨漏りや外壁の劣化や壁内部の結露の可能性が高いです。軒がない住宅を耐久性の高い住宅にするには高度な技術力が必要ですが、ほとんどの業者はそのような技術力を持っていません。結露計算をやっていますかと聞いてみてください。この質問に答えられない担当者や会社は、壁内部の結露のリスクを検討していないということです。

モデルハウスなどのエアコンの室外機は少ないほど良い
モデルハウスでは、外回りをしてエアコンの室外機の数を数えてみてください。平均的に各社7~9台置かれています。これは、家中を快適にするためにこれだけ必要だということです。モデルハウスは大きいので仕方ありませんが、30~40坪の普通の住宅でも同じようにエアコンを設置すると、1階はLDKと和室で2台、2階は主寝室と子供部屋2部屋で3台で合計5台必要になります。1台10万円だとすると50万円もかかります。10年ごとに買い替えると考えるとかなりの費用です。

可能であれば平面形状・屋根形状はシンプルな方が良い
これは住宅会社よりも設計担当者の能力や好みによって変わります。避けたいケースは、間取りを優先してしまって、お客様の希望する部屋をそのままつなげて屋根をかけたら完成という住宅です。このようにすると、外観の形が凸凹になります。凸凹になると、外壁の面積が増えて工事費が高くなります。また、表面積が増えると熱の損失も大きくなります。施工も難しくなり雨漏りも起こりやすくなります。平面形状や屋根形状はシンプルにすることで、コストや性能や耐久性にもメリットがあります。

 

動画:トンボハウス【YouTube】