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人形使いが旅に出る

ダークファンタジーライトノベル

 

 

【Episode.3それぞれの旅】

9

 

 

 

 

「沐宇(ムーユー)ちゃんは

苦力(クーリー)の荷役仕事の合間に

周りの薬師達に色々教えて貰って

医学に関する知識を

身につけたって言ってたわ、

そして十六年の歳月が過ぎ

捜索隊で生き残ったのは

沐宇(ムーユー)ちゃん一人。

それでも沐宇(ムーユー)ちゃんは

旅を続けた」

 

「……」

 

「途中で行き倒れになって死んでいった

他の捜索隊の遺品や遺骨を見つけては

弔うために…

ほんとに優しい子…」

 

 

 

 

 

そして、仞(じん)の西方交易都市で

私たちは出会った」

 

「……」

 

「その後、いっしょにアラムの王都に立ち寄ったとき

仞(じん)では、もう前の王様は死に

新しい王様になって

仙薬捜索隊は打ち切られたって

話を同じ国の人から訊いたらしいわ

 

 

 

 

 

 

 

「…結局、不老不死の薬はみつからなかった?」

 

「そうね、でも沐宇(ムーユー)ちゃんは

そんなものは、もしあったとしても

ないほうがいい

って言ってたわよ」

 

「…ふ〜ん、しにたくないけどなぁ

でも、どうしてそんなに

あいつのこと詳しいんですか?」

 

「それは、心も身体も裸にしたいって

いったでしょ?

そういうことよ」

 

「え!?」

 

「結構、お得意様よ

沐宇(ムーユー)ちゃん」

 

マコマは今までの良い話が

全部なかったことになった気がした。

 

しかし、沐宇(ムーユー)が

喋ってしまう気持ちもマコマには理解出来た。

なぜなら、アプサラは

不思議なくらい自然に人の心の隙間に

するりと入って中から扉を開けてしまう。

 

マコマは思ったことを口にした。

 

 

「……私、

アプサラさんはそういう

人の心を無防備にする才能に

長けてると思います

そういう魅力がありますよ

なんか魔法でも掛けられたみたいに

アプサラさんには喋っちゃうもの…」

 

 

マコマが真面目に言ったことを

アプサラは一笑に付した。

 

「魔法って、あはははっ

そんな、あははっ

笑かさないで、あはははっ」

 

ひとしきり、笑った後

マコマをジッと見て話を続ける。

 

 

「でもね、マコちゃん

自分も裸にならないと

相手も裸にはなってくれないものよ?」

 

「…そんなもんですか?」

 

「そう、だからマコちゃん

今度は私の話をしてあげる

マコちゃんには色々訊いちゃったからね

…そう、私が元王族だっていったら

笑う?」